2022 Fiscal Year Research-status Report
金属負極全固体電池電極界面のブラスト加工による高速充電化メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K14761
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
兒玉 学 東京工業大学, 工学院, テニュアトラック助教 (90825879)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全固体電池 / リチウム金属負極 / ブラスト加工 / 酸化物系固体電解質 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度では、ブラスト加工による電池性能向上メカニズムの検討を主として実施した。未加工・ブラスト加工・金スパッタ格好・ブラスト加工+金スパッタ加工の4種の電池を対象として、1.充放電試験機による臨界電流密度計測、2.表面3次元SEM計測による電解質表面の形状計測、3.マイクロビッカース硬さ試験による電解質表面の破壊靭性計測、4.電池温度を変化させた電気化学インピーダンス法による界面抵抗計測の4つを行った。臨界電流密度計測より、ブラスト加工により充電可能速度が増加すること、金スパッタ加工と併用することで、金スパッタ加工単独よりも高い充電可能速度が得られることが示された。その原因として、電解質内部へのリチウムデンドライト成長の抑制が考えられたことから、マイクロビッカース硬さ試験を実施した。その結果、ブラスト加工を施した電解質にて、未加工ならびに金スパッタ加工を施した電池よりも高い破壊靭性が確認され、ブラスト加工により電解質への亀裂発生を抑制され、デンドライト成長を抑制したことが、臨界電流密度の増加要因であることがしめされた。表面3次元SEM観察より、ブラスト加工を施した電池にて、表面凹凸が形成されていることが確認された。電気化学インピーダンス計測より、ブラスト加工を施すと海面抵抗が示された。また、温度を変えて実施した電気化学インピーダンス計測より、海面抵抗の活性化エネルギーはブラスト加工を行っても未加工や金スパッタ加工からは変化がないことが示された。このことから、ブラスト加工による海面抵抗低下は物理的な接触面積の増加に伴うものであることが示され、ブラスト加工により作成された電解質表面凹凸がリチウム金属に食い込むことで海面抵抗が低下されたと示唆された。 次年度では、以上で明らかとなったメカニズムをもとに、さらに高速充電が可能な電池の実現に向けて、ブラスト加工法の最適化等を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画にて初年度にブラスト加工による高速充電化メカニズムの解明を計画した。実施の結果、当初計画を十分に達成することができており、電解質表面凹凸の形成と破壊靭性増加の2点が高速充電化に寄与することが明らかとなった。解明の過程で、当初計画にはなかった電解質の破壊靭性の高速充電化に寄与する可能性が示されたが、追加でマイクロビッカース硬さ試験を行い、追加の現象解明を行うことができ、当初の計画以上に研究を遂行できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究より、ブラスト加工による高速充電化メカニズムが明らかになった。最終年度となる2年度目では、初年度で明らかとなったメカニズムをより強化できるよう、加工条件(砥粒サイズ、砥粒材質、吹付圧、加工時間等)の最適条件探索を行い、さらなる高速充電化に向けた指針確立を行う。
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Causes of Carryover |
本年度の実験について,当初想定よりも効率的に実験用電池材料の作成ができ,試薬購入料金が予定額を下回った.これに伴い次年度使用額が発生した.次年度は加工条件の最適化にあたり,多くの電池作成が必要なことから,試薬購入力金として次年度使用額を使用する予定である.
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Research Products
(8 results)