2022 Fiscal Year Research-status Report
鉄系層状ペロブスカイトの電気化学挙動解析と水系二次電池正極への展開
Project/Area Number |
22K14763
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮原 雄人 京都大学, 工学研究科, 助教 (60807816)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 水系二次電池 / 正極材料 / 層状ペロブスカイト |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度研究として、operando XAFSやoperando XRD、アルカリ電解液依存性を測定することで充放電反応メカニズムの詳細な解析を行った。 XANESから、LaSr3Fe3O10-δの充放電反応はFeイオンの酸化還元によるものであることが示唆されており、その価数は初回放電前において約3.6価、初回放電後において約3.1価、初回充電後に約3.4~3.5価を取ることが明らかとなった。また、EXAFSから充放電に伴って、Fe-Sr結合、Fe-Fe結合の強度が変化することが明らかになった。 オペランドXRD測定の結果から、LaSr3Fe3O10-δの初回放電反応は二相共存反応であり、後続する充放電反応は単相反応であることが示唆された。また、LaSr3Fe3O10-δは初回放電反応においてLaSr3Fe3O10-2x(OH)2x・yH2Oへの構造変化後、後続の充電反応は低電位領域ではプロトンの挿入脱離のみが進行し、高電位領域ではプロトンに随伴して層間のH2Oも挿入脱離することが示唆された。サイクルを経ると、層間のH2Oの挿入脱離に伴うc軸長の変化が小さくなり、結晶構造はab軸方向にも変化することが明らかになった。 アルカリ電解液依存性として、種々のカチオンサイズを有するアルカリ電解液で充放電測定を行った結果、LaSr3Fe3O10-δの電気化学的挙動に電解液のカチオンサイズは影響しなかったことから、電解液カチオン成分は関与しないことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画に挙げた反応ダイナミクス解析として、operando XASやoperando XRD、アルカリ電解液依存性について測定を完了しており、本研究で対象とする層状ペロブスカイトに含まれる遷移金属イオンの価数変化や構造変化に関する知見の獲得に成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度に得られた反応機構に関する知見を基に、高容量化へ向けた検討を行う。遷移金属サイトについて、元素戦略の観点からマンガン置換を主とした検討を進める。また、層状ペロブスカイトのペロブスカイト層数をはじめとした構造最適化も検討を進め、研究開始時点の2倍以上の可逆容量を有する新奇正極材料の提案および設計指針を取りまとめる。
|