2022 Fiscal Year Research-status Report
PDF解析による低結晶性酸化鉄カソード材料の高電池性能発現メカニズムの解明
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22K14766
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 勝國 岡山大学, 自然科学学域, 助教 (90908196)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / 正極材料 / アモルファス材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、低結晶性の酸化鉄がLiイオン二次電池のカソード材料として、酸化鉄結晶材料よりも高い電池性能を示すことが報告され、結晶性の低減が電池性能の向上に有効であることが示された。そして、この低結晶性材料に特有な欠陥構造がこの電池性能の向上に寄与していると考えられている。そこで本研究では、酸化鉄の材料複合化によって材料の欠陥構造を制御し、二体相関関数解析で定量的に欠陥構造を評価することで、欠陥構造と電池性能の相関性を明確にし、欠陥構造が電池性能を向上するメカニズムと電池性能を支配する構造的要素を解明することを目的とした。 2022年度は、(1)酸化鉄アモルファス複合材料の合成条件の最適化と(2)合成した試料の物性および電池性能評価を行った。 (1)酸化鉄の材料複合化は、遊星ボールミルを用いて行い、回転数や混合時間等を変化させた。そして、得られた試料のXRD測定によって、材料の構造を評価した。その結果、合成条件を最適化することで酸化鉄アモルファス複合材料の合成に成功した。 (2)合成した酸化鉄アモルファス複合材料の物性とレートおよびサイクル特性を評価するために電気化学インピーダンス測定、サイクリックボルタンメトリー、充放電試験を行った。その結果、酸化鉄の材料複合化によって、電荷移動抵抗が低減し、イオン伝導度が向上した。また、酸化鉄アモルファス複合材料は、通常のアモルファス酸化鉄と比較して高いレート特性およびサイクル特性を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度では、酸化鉄アモルファス複合材料の合成と電池性能評価を行い、想定していた材料複合化によって酸化鉄の電池性能が向上することが確認できたため、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化鉄の材料複合化による電池性能向上メカニズムを明らかにするために、高エネルギーX線回折測定と二体相関関数解析による材料の構造評価を実施し、構造と電池性能の相関性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた旅費に関する計画が、感染症の社会情勢によって変更されたため、次年度に使用額が生じた。次年度では、試薬等の購入に充てる予定である。
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