2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K14770
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山口 友一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 講師 (30843122)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 光触媒 / 酸化物 / 水分解 / 酸素生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,モデル光触媒としてペロブスカイト型の結晶構造を有するAgTaO3を用いた。電気炉を用いて1273 Kの条件で原料を焼成し,自然冷却することで目的物を得た。得られたAgTaO3はtrigonal相を有していることをX線回折パターンによって確認した。AgTaO3はおよそ773 KでCubic相を有することが報告されている。したがって,合成したAgTaO3を再度,電気炉を用いて1073 Kでアニール処理を行い,3時間後に粉末を取り出し,液体窒素を用いて急冷処理を行った。取り出した粉末のX線回折パターンを調べたところ,trigonal相由来のパターンの分裂が緩和されていた。このことから,急冷処理によって結晶相の変化が示唆された。しかし,結果的には完全なCubic相の目的物を得ることはできなかった。 今年度は新たに,可視光照射下での酸素生成に活性な新規バナジン酸銀系酸化物光触媒の開発にも着手した。まず,酸素生成光触媒として報告例のないAgMVO4(M=Mg,Ca,Zn,Mn)の合成を行った。遊星ボールミルを用いて原料を混合させた後,粉末を焼成することで目的物を得た。X線回折測定を行ったところ,AgMVO4(M=Ca, Zn)においては単一相の目的物が得られたことを確認した。一方,AgMVO4(M=Mg, Mn)においては若干の不純物は見られたものの,目的物がおおよそ得られていることがわかった。AgMVO4(M=Mg,Ca,Zn,Mn)のバンドギャップを拡散反射スペクトルから見積もったところ,それぞれ2.5, 2.9, 2.7, 1.13 eVと見積もられた。可視光照射下における酸素生成半反応を調べたところ,AgMnVO4以外の試料は活性を示し,なかでもAgMgVO4がもっとも高い活性を示した。以上のように,新規可視光酸素生成金属酸化物光触媒の開発に成功した。
|