2022 Fiscal Year Research-status Report
昆虫による分子ナノカーボンの直接官能基化に関わる新規タンパク質の探索と機能解明
Project/Area Number |
22K14782
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇佐見 享嗣 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (40890447)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 分子ナノカーボン / 昆虫 / 生物変換 / 生体触媒 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノメートルサイズの単一多環芳香族炭化水素である分子ナノカーボンは、最も活発な研究領域の一つであり、官能基を付与することで新たな物性や機能が見出されている。しかし、位置選択的に直接官能基を付与できる分子ナノカーボンは限定的なため、依然として反応開発が強く求められている。最近申請者は、代表的な分子ナノカーボンであるカーボンナノリング ([6]CPP) が昆虫であるハスモンヨトウ幼虫により位置選択的に直接酸化されることを発見した。そこで本研究では、 [6]CPP の酸化反応に関わる遺伝子を RNA-seq により探索・同定し、同遺伝子にコードされるタンパク質の機能を明らかにすることを目的とした。 まず、ハスモンヨトウ幼虫の[6]CPPに対する摂食阻害活性を評価し、摂食阻害を示さない最大濃度を見出した。続いて、見出した最大濃度の人工飼料を用いた生物変換を実施し、代謝物から有機溶媒により抽出・精製することで[6]CPP 誘導体の生産効率を算出した。また、生物変換に用いたハスモンヨトウ幼虫の中腸からRNAを抽出し、RNA-seqを実施し、[6]CPPを与えていない個体と比較して特定の遺伝子群が発現量増加したことを確認した。確認した遺伝子群の中でも、異物代謝への関与が示唆される遺伝子を標的にしたノックダウン個体をRNAi法により作出した。作出した個体を用いた生物変換を実施することで [6]CPP誘導体の生産量減少を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画著書の計画通りにおおむね研究が進んだ。特に、RNA-seqを実施したことで標的とする遺伝子候補を見出すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
標的遺伝子候補にコードされるタンパク質の機能を明らかにするため、異種タンパク質発現系による機能解析検討を行う。
|
Causes of Carryover |
消耗品や試薬の購入が当初の予定よりも少なくなったため。次年度使用額は異種タンパク質発現系のための消耗品や試薬の購入に使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)