2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K14793
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 大輝 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (80876623)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | AUTAC / オートファジー / タンパク質凝集体 / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
異常タンパク質の凝集体は,神経変性疾患の重要な病理学的特徴である。疾患患者におけ る異常タンパク質の蓄積は,オートファジーの不全に由来するため,オートファジーを活 性化すれば凝集体形成が抑制される。すなわち,オートファジーは神経変性疾患の“予防”に貢献する。一方で“治療”のためには,既に存在する凝集体を除去する必要がある。申請者は,狙った細胞内分子にオートファジーを呼び寄せ分解を誘起する薬剤「AUTAC(autophagyーtargeting chimera)」を開発した (2019年,Molecular Cell)。AUTACは,オートファジー分解の目印となる化学構造を標的分子に届ける薬剤である。本研究では,AUTACを使って細胞内に蓄積した凝集体を除去する手法の創出を目指す。凝集体排除に成功すれば新たな治療法として有効である。 第一にタグタンパク質を使った系においてPOC検証を行い、その後、凝集体排除を狙ったAUTAC分子を合成する計画ですすめる予定である。 初年度は、POC検証実験に重点を置いた。タグタンパク質が融合したαーシヌクレインの凝集体をつくらせた細胞において、タグタンパク質を狙ったAUTACを処理することによりオートファジー因子が凝集体周囲に集積するかどうか、αーシヌクレインタンパク質レベルが減少するかどうか検証した。また、タグ技術を使わずに細胞内の凝集体を直接狙うことのできるAUTACの合成にも取り掛かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していた検証事項はおおむね順調にこなしているものの、細胞内にαーシヌクレインの凝集体を作る実験系が当初予想していたよりも安定せず、POC検証実験としては不安が残った。安定発現系を利用する方法をはじめ、いくつかの方法で系構築をし直したため計画よりもやや遅れて進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに構築した実験系において引き続きPOC検証を行う。それと並行して、凝集体標的化AUTAC化合物の合成(現在進行中)も進め、合成完了後に評価実験を行う。 また、ミトコンドリアを狙ったAUTAC4を使って,神経変性疾患にアプローチする計画も実行する。αーシヌクレインは,内部にミトコンドリア移行配列を持つため,ミトコンドリアに集積することが知られる。αーシヌクレインは呼吸鎖複合体Ⅰの活性を低下させ,ミトコンドリアからの活性酸素種の産生を増加させる。この文脈におけるAUTACの有効性も検証する。
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