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2023 Fiscal Year Research-status Report

環状RNAの翻訳反応を促進するプローブの開発

Research Project

Project/Area Number 22K14796
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

中嶋 裕子 (近藤裕子)  名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (20634760)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords環状mRNA / タンパク質翻訳 / 核酸プローブ
Outline of Annual Research Achievements

RNA医薬は、標的タンパク質の情報をコードしたmRNAを合成し、投与することで、生体内で標的タンパク質を産生させ、治療や予防に使用する医薬品である。2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンが緊急承認され、世界で初めてmRNA医薬が実用化した。mRNA医薬は、ワクチン以外にもタンパク質補充療法として、難治性の疾患の治療訳としても注目されている。
mRNA医薬の課題の一つに、生体内での安定性があげられる。mRNAは、生体内で、核酸分解酵素により速やかに分解されてしまう。そこで、申請者は、環状構造のmRNAに着目して研究を進めた。環状mRNAは、末端をもたない構造であることから生体内での安定性が高いと報告されている。真核生物における環状RNAの翻訳活性は、キャップ構造を有しないことから、直鎖状mRNAに比べて低い。申請者は、これまでに核酸プローブを結合させることにより環状RNAの翻訳活性を向上できることを見出した。23年度は、標的mRNAに対して核酸プローブを結合させる位置と長さの検討を行った。また、標的mRNAから終止コドンを除いた環状mRNAを合成し、回転式翻訳現象の活性を向上させることを試みた。その結果、プローブの結合位置は、開始コドンの100塩基上流が最も効果が高かった。また、予想に反して、開始コドンの下流の位置でも活性の向上が見られた。回転式翻訳反応に核酸プローブを用いた結果、高分子のタンパク質の合成量の産生が増加することを見出した。本機構では、リボソームによる翻訳反応が複数回転して高分子のタンパク質ができると考えられるため、結合したプローブは、2回転目では解離していることが予想された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度は、環状mRNAとプローブの結合位置の最適化および、回転式翻訳現象への応用を到達目標として、研究を遂行した。回転式翻訳現象に用いた環状mRNAは、これまでに実績のあるFLAG配列を有する系を選択し、ウエスタンブロッティングにより検出した。環状RNAに結合させる短いRNAは、化学合成により調製し、化学的にキャップ化した。環状RNAへのプローブの結合位置は、開始コドンの上流の100塩基、50塩基、20塩基、下流の20塩基部分を試した。その結果、開始コドンから最も離れた位置にプローブを結合させたとき、翻訳活性向上効果が最も高かった。また、開始コドンの下流に結合させても活性の向上効果が得られた。結合させる塩基長は20, 30, 40塩基を検討した。その結果、長いほど高い効果が得られることがわかった。

Strategy for Future Research Activity

一つ目には、環状RNAを効率よく合成・精製する手法を検討する。これまで直鎖mRNAを転写反応により合成し、RNA連結酵素により環化している。しかしながら比較的短いmRNAの環化する反応は、酵素により6割の効率で環化できた。しかしながら、mRNAは、1000塩基を超える長さのものが多く、高次構造を形成することから、環化反応が難しくなることがわかってきた。今後は、スプライシングを利用した環化反応も検討する。
二つ目には、複数のターゲット配列を検討する。これまでは、ナノルシフェラーゼをコードする環状RNAに対する核酸プローブの最適化を行ってきた。Luc2、GFP、mCherryなど他の配列にたいしても本プローブが有効であるかを検討するとともに、結合させるUTRの配列や長さについても検討する。

Causes of Carryover

今年度は、特許申請のために学会などで発表することを控えた。そのため、出張費として計上していた予算を次年度使用額とした。今年度は、特許の申請を終えて、学会などで研究成果の発表を積極的に行うために、旅費及び、学会参加費として使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Patent(Industrial Property Rights) (1 results) (of which Overseas: 1 results)

  • [Patent(Industrial Property Rights)] キャップ化RNA及びその製造方法並びにタンパク質の製造装置及びタンパク質の製造方法​2023

    • Inventor(s)
      阿部洋、阿部奈保子、稲垣雅仁、中嶋裕子、木村康明、橋谷文貴
    • Industrial Property Rights Holder
      阿部洋、阿部奈保子、稲垣雅仁、中嶋裕子、木村康明、橋谷文貴
    • Industrial Property Rights Type
      特許
    • Industrial Property Number
      PCT/JP2023/007759​
    • Overseas

URL: 

Published: 2024-12-25  

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