2022 Fiscal Year Research-status Report
イネアンモニウム輸送体の偏在と小胞体蓄積の生理的意義の解明
Project/Area Number |
22K14805
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小西 範幸 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (20866959)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アンモニウム / イネ / アンモニウム輸送体 / 極性局在 / 小胞体蓄積 / リン酸化 / 翻訳後制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネはアンモニウムを好んで利用するため、効率的なアンモニウム利用機構を有すると考えられる。しかし、イネ独自のアンモニウム利用の分子機構はこれまで見出されていない。申請者は、3種類のアンモニウム輸送体 (AMT1) が、外皮細胞の遠心側へ偏在し、アンモニウムに応じて小胞体に蓄積するというイネに特有の現象を発見した。これらの現象は、イネの効率的なアンモニウム利用に貢献している可能性があるが、その生理的意義は分かっていない。本申請では、AMT1の部分置換によって偏在性や小胞体蓄積性を失ったAMT1を作出し、正常なAMT1との比較から、イネAMT1に特徴的な翻訳後制御の生理的意義の解明を目指す。 シロイヌナズナのホウ酸輸送体では細胞質領域のリン酸化が偏在性の制御に必要であることが知られていることから、AMT1;2のC末端にあるリン酸化されうる8か所のアミノ酸残基に変異を加え、これらのアミノ酸残基のリン酸化が偏在性、小胞体蓄積、および、活性に影響するかを検討した。その結果、これらのアミノ酸残基に変異を加えても、偏在性と小胞体蓄積に変化は見られなかったが、3か所のアミノ酸残基で変異によって活性が失われることが分かった。このことからAMT1分子種で広く保存されているスレオニン残基のリン酸化以外にも2か所のアミノ酸残基のリン酸化がイネのAMT1;2の活性制御に関わることが示唆された。 AMT1;2の翻訳後制御を調節する因子を発見するために、Flagタグを付加したAMT1;2を導入した形質転換イネを用いた共免疫沈降による相互作用因子の探索を企画している。今年度は、Flag抗体を用いた免疫沈降の条件検討を実施し、条件を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である極性局在と小胞体蓄積を制御する領域は見いだせていないが、AMT1;2の活性制御に関わる新規なアミノ酸残基を発見した。さらに、共免疫沈降による相互作用タンパク質解析のめどが立ったため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の研究を実施する予定である。1) 同定した新規なリン酸化されるアミノ酸残基の生理的役割の解析、2) C末端のデリーション解析により、極性や小胞体蓄積に影響する領域を検討する。3) 共免疫沈降によりAMT1分子種と相互作用するタンパク質を探索する。
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Research Products
(3 results)