2022 Fiscal Year Research-status Report
食物繊維レスポンダーに特徴的なマイクロバイオーム・遺伝子・酵素の解明
Project/Area Number |
22K14810
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
杉山 友太 群馬大学, 食健康科学教育研究センター, 助教 (80908749)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腸内常在細菌 / レスポンダー / 遺伝子 / 代謝物 / 食物繊維 |
Outline of Annual Research Achievements |
食物繊維は多彩な保健効果を持つが、食物繊維の保健効果が得られるヒト「レスポンダー」と得られないヒト「ノンレスポンダー」が存在する。両者の差異は、腸内細菌叢が担うと考えられているが、その分子基盤は不明である。この分子基盤を解明することが出来れば、レスポンダーとノンレスポンダーの差を無くし、全てのヒトが一様に食物繊維の保健効果を享受するための技術開発に繋がる。そこで本研究は、レスポンダー特異的に検出あるいは優勢化する腸内細菌種を単離・同定し、食物繊維の資化機構と資化により生じる代謝物の産生機構(レスポンダー/ノンレスポンダーの決定を担う機構)を遺伝子・タンパク質レベルで解明することを目的とした。 グルコマンナンをモデル食物繊維として研究を進めた。糞便培養を用いて、グルコマンナンのヒト腸内細菌叢への作用を評価した。この結果、種々の保健効果が報告されている細菌種がグルコマンナン存在下で顕著に増加することを明らかにした。さらに、同菌種の増加度は、ドナー毎に異なり、本菌種がグルコマンナンに対するレスポンダーとノンレスポンダーの差を担う因子の一つであることが予想された。続けて、in silico解析により、同菌種が持つグルコマンナンの資化・分解に寄与するタンパク質を推定し、組換えタンパク質を用いてグルコマンナン分解活性ならびに基質特異性をを評価した。この結果、候補タンパク質の一つがグルコマンナンにのみ分解活性を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グルコマンナン添加により保健効果を示すヒト腸内常在細菌種が増加することを明らかにすることが出来た。同菌種が、グルコマンナンに対するレスポンダーとノンレスポンダーの差を担う可能性が示唆された。さらに、同菌種において、グルコマンナン由来オリゴ糖の資化・分解を担っている候補タンパク質ならびに遺伝子を得ることが出来た。以上の点から、本研究は「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
糞便培養液のメタボローム解析を実施し、代謝物の観点からドナー間の比較を行う。グルコマンナン添加により増加した腸内細菌種について、グルコマンナン存在下で特徴的に産生する代謝物を同定する。さらに、グルコマンナン資化および代謝物産生を担う遺伝子の欠損株を作出する。野生株と各遺伝子欠損株を動物に投与し、グルコマンナン摂取時の宿主への保健効果を比較・解析する。
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