2022 Fiscal Year Research-status Report
カイメンにおけるメンブレンベシクルを介した物質輸送の解明
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22K14811
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二宮 章洋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (50823522)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カイメン / メンブレンベシクル |
Outline of Annual Research Achievements |
八丈島沖でカイメンTheonella swinhoeiを採取した。当該カイメンには内部が黄色いものと白いものがあり、以下それぞれ「TSY」「TSW」と呼ぶ。カイメンを破砕し、破砕液を濾過した。多段階の遠心分離による分画によって、メンブレンべシクルを含む画分を得た。条件検討の結果、緩衝液として塩化ナトリウムを含むHEPES、密度勾配の媒体としてOptiPrepを用いた密度勾配遠心分離によって、脂質を含む画分がバンドとして得られることがわかった。TSYにおいては、密度勾配遠心分離の結果、3つのバンドが生じた。ネガティブ染色法によってこれらの画分を観察したところ、上2つの画分には約200 um程度の小胞様構造物が見られた。一方、TSWにおいては、密度勾配遠心分離の結果、1つのバンドが生じた。ネガティブ染色法によって観察したところ、TSYで見られたものより小さい、数十um程度の小胞様構造物が見られた。さらに、各画分を有機溶媒で抽出してLCMSによって分析したところ、小胞様構造物を含む画分に、セオネラミド、オンナミド、およびミサキノリドが含まれることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メンブレンベシクルを含む画分に、カイメンの二次代謝産物が含まれることを示す結果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
密度勾配遠心によって得られたメンブレンベシクル画分からRNAとタンパク質を抽出し、それぞれRNA-シーケンシング解析とプロテオーム解析に供する。これによって、メンブレンベシクルに、化合物の産生・輸送に関わる、どのような転写産物・タンパク質が内容されているかを明らかにする。さらに、イメージング質量分析によって、カイメン内での化合物の局在を調べる。
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