2023 Fiscal Year Annual Research Report
カイメンにおけるメンブレンベシクルを介した物質輸送の解明
Project/Area Number |
22K14811
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二宮 章洋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (50823522)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カイメン / メンブレンベシクル / 共生細菌 / 二次代謝産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に得たメンブレンベシクルフラクションから,全RNAを抽出する方法を検討した.内部が白色のカイメンTheonella swinhoeiを破砕し,破砕液を遠心分離と密度勾配遠心分離によって分画し,1本のバンドとしてメンブレンベシクルフラクションを得た.当該フラクションを遠心することでメンブレンベシクルを沈殿させ,滅菌水に懸濁した.懸濁液からTRIzol試薬(Thermo)を用いて全RNAを抽出し,抽出液をPureLinkキット(Thermo)を用いて精製した.得られたRNAをDNAse I処理し,RNA Clean & Concentratorキット(ZYMO)を用いて精製した.以上の方法によってRNAを得ることに成功した.cDNAライブラリ作製とシーケンシング解析を業者に委託し,生データ(48 M reads)を得た.前年度の解析で,内部が白色のTheonella swinhoei由来のメンブレンベシクルからはテオネラミドとミサキノリドが検出された.そこで,得られたリードを,Candidatus Entotheonella sertaが有するテオネラミドとミサキノリドの生合成遺伝子クラスターにマッピングした.その結果,raw read countは比較的低いが,両化合物の生合成遺伝子の転写産物の存在が示唆された. 本研究を通して,カイメンに含まれるメンブレンベシクル中に,テオネラミドとミサキノリドという二次代謝産物が含まれること,および,当該化合物の生合成遺伝子の転写産物が含まれることを示唆する結果を得た.カイメンにおける共生細菌の物質産生と物質輸送の理解に貢献すると考えられる.
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