2022 Fiscal Year Research-status Report
Cryptococcus属真菌における病原性因子カプセルの生合成機構の解明
Project/Area Number |
22K14817
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
門岡 千尋 崇城大学, 生物生命学部, 助教 (80909630)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Cryptococcus neoformans / 莢膜多糖 / グルクロノキシロマンノガラクタン / マンノース転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
クリプトコッカス症の主な原因菌であるCryptococcus neoformansが産生する莢膜はグルクロノキシロマンナン(GXM)とグルクロノキシロマンノガラクタン(GXMGal)と呼ばれる2種類の多糖から構成されている。本研究ではGXMとGXMGalの生合成に関与する新規糖転移酵素の同定を目的としている。 本年度は、バイオインフォマティクスにより見出した30種類の推定ゴルジ体局在機能未知タンパク質の中から糖転移活性を示すものの探索を行った。まず、Cryptococcus neoformansのcDNAを調整し、大腸菌を宿主として候補タンパク質を発現させた。その後、精製タンパク質に対して各種基質を混合し、糖転移活性を検出した。その結果、4-メチルウンベリフェリル-β-ガラクトースとGDP-マンノースを基質として用いた際に反応産物を産生する新規酵素を同定した。NMRおよびメチル化GC/MSによって反応産物の構造解析を行った結果、反応産物はβ-ガラクトースの4位にα-マンノースの1位が結合した構造であることが明らかになった。そこで、このβ-ガラクトシド-α-(1→4)-マンノース転移酵素をCgm1と命名した。Cryptococcus neoformans H99株において、cgm1破壊株を構築し、その表現型を解析した結果、cgm1破壊株は37℃において温度感受性を示すことが明らかになった。さらにcgm1破壊株が産生する莢膜多糖を精製し、NMRおよびメチル化GC/MSに供した結果、GXMGalのマンナン側鎖が消失、もしくは減少していることが明らかになった。以上の結果から、Cgm1はGXMGalのマンナン側鎖の生合成に関与するβ-ガラクトシド-α-(1→4)-マンノース転移酵素であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は候補タンパク質の中から莢膜多糖の生合成に関与するタンパク質としてCgm1を同定することができた。また、cgm1破壊株の表現型解析から、GXMGalのマンナン側鎖はCryptococcus neoformansの高温ストレス耐性に重要であることを明らかにすることができた。よって、当初の計画通りに進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はcgm1破壊株のマウスに対する感染実験を通して、病原性発揮におけるGXMGalのマンナン側鎖の役割を明らかにする。また、大腸菌発現系を用いて組換えCgm1を大量発現させ、Cgm1の結晶化条件を検討する。Cgm1の立体構造を明らかにすることで、阻害剤のスクリーニングが可能になると考えている。 また並行して、Cgm1以外の莢膜多糖生合成に関与する糖転移酵素のスクリーニングを行う予定である。
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