2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of sodium translocation mechanism of Na+-pumping NADH-ubiquinone oxidoreductase from Vibrio cholerae
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22K14837
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桝谷 貴洋 京都大学, 農学研究科, 助教 (80803775)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 呼吸鎖酵素 / ユビキノン / Cryo-EM / コレラ菌 / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
ナトリウムイオン輸送型NADH-キノン酸化還元酵素(NQR)は、基質の酸化還元と共役してナトリウムイオンの能動輸送を行う膜タンパク質複合体である。2022年度は基質の酸化還元とナトリウムイオン輸送の共役メカニズムを調べるため、様々な側鎖構造を有するキノン類を合成し、活性を評価した。活性評価にはコレラ菌由来NQRを再構成したプロテオリポソームを用い、キノン類ごとの還元活性と膜電位形成を定量的に測定した。その結果、炭素鎖が3つよりも短い側鎖を有するキノン類では還元は観察されるにも関わらず、ナトリウムイオンが輸送されないことがわかった。この知見は、キノンの側鎖構造が輸送に決定的な役割を担っていることを意味するものであった。 次にキノン還元とナトリウムイオン輸送の共役メカニズムを明らかにするために、NQRとキノンの結合状態を調べることとした。その予備段階として、キノン非結合型のNQRの構造をcryo-EMを用いた単粒子解析法による構造解析を実施し、3.1Å分解能で構造を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、キノン還元とナトリウムイオン輸送の共役に必要なキノン側鎖の構造を明らかにした。また、cryo-EMを用いた単粒子解析法によりNQRの構造を決定できた。このような理由から、研究は概ね順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度にcryo-EMを用いてキノン非結合型のNQRの構造を決定できた。そこで2023年度は、キノン結合型や酵素が還元された状態等、様々な構造情報を得ることでキノン還元とナトリウムイオン輸送の共役メカニズムを明らかにする。また、結合親和性が低い基質(キノン)の結合型構造を取得することが困難であった場合、キノン側鎖に光親和性基を導入したキノンプローブ分子を用いて、キノン側鎖の結合部位をアミノ酸残基レベルで明らかにする。
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Causes of Carryover |
2022年度は、有機合成実験の比率が多かったため、生化学試験関係で計上した予算に余りが発生した。2023年度は実験における生化学実験の割合が増える予定なので、余剰の予算を含めて計画的に使用したい。
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Research Products
(19 results)