2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel psoralen conjugated triplex forming oligonucleotides and its application to a photo genome editing technology
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22K14839
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三瓶 悠 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (70908540)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ソラレン導入型三重鎖形成核酸(Ps-TFO) / ミスマッチ部位 / 三重鎖構造安定化 / LNA / 相乗効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
三重鎖構造は、標的DNA二重鎖に対して三重鎖形成核酸(TFO)がフーグスティーン型の水素結合を介して形成する核酸の高次構造の一種である。しかし標的二重鎖のうち、片側一本鎖にプリン塩基を多く含有する配列でないと安定な三重鎖構造形成は不可能である。つまりこのプリン豊富な一本鎖中に含まれるピリミジン塩基部位(ミスマッチ部位)は三重鎖構造の不安定化を招く原因となる。一方前年度、このミスマッチ部位に対応する位置のTFO側にソラレンを導入したソラレン導入型三重鎖形成核酸(Ps-TFO)は、ソラレン非導入型のTFOよりも形成される三重鎖構造が優位に安定化されていることが分かった。そこでさらなる機能の向上と機能評価を目的とし、下記の二項目について実施した。
1.人工核酸LNAをPs-TFOへ導入することによる三重鎖安定化効果の検証:他の人工核酸を導入することで、同標的配列に対して形成される三重鎖構造をさらに安定化させることが可能か検証した。人工核酸としては、糖部の2位水酸基と4位が架橋した構造を有するLNAを検討した。Ps-TFOの配列に部分的にLNAを導入し、三重鎖形成能評価を実施した。その結果、ソラレンあるいはLNAのそれぞれ一方のみを導入しただけの配列と比較して、相乗的に形成される三重鎖構造が大きく安定化されていることが分かった。
2.ソラレンの導入数と三重鎖構造の安定性との関連性評価:次にソラレンの導入数を増やすことで、ソラレンの導入数依存的な安定化効果が得られるのか検証した。標的DNA配列は配列内部にミスマッチ部位を2つ、両末端にそれぞれ一個ずつ、計4つのミスマッチ部位が存在する。そこで内部に一個あるいは二個、四個ソラレンを導入したPs-TFOを合成し、三重鎖形成能評価を実施した。その結果、ソラレンの導入数依存的な三重鎖構造の安定化効果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目の目標であったソラレンを導入することによる三重鎖構造の安定化効果に加えて、思いがけず、人工核酸LNAを導入することによる相乗的な効果により、Ps-TFOの三重鎖形成能を飛躍的に向上させることができた。また2、3年目の目標である細胞におけるゲノム編集効率および遺伝子抑制効果の検証実験に到達することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、主に下記二項目について重点的に推進する。 1.Ps-TFOのゲノム編集効率および遺伝子抑制効果の評価:三重鎖形成核酸はDNA二重鎖切断誘発能を有し、また転写因子の伸長を阻害することが知られている。この性質を利用し、当研究室で構築した迅速ルシフェラーゼレポーターアッセイ系を用いて、今回合成したPs-TFOのゲノム編集効率および遺伝子発現の抑制効果について検証する。 2.遺伝子増幅型がん細胞を標的としたPs-TFOの抗がん作用の評価:一部のがん細胞では、特定の遺伝子のコピー数が増幅されることで、がん化が促進されている。この増幅された遺伝子を標的としたTFOが複数のDNA二重鎖切断を誘起することで細胞にストレスがかかり、がん細胞選択的にアポトーシスが誘導されることが知られている。今回合成したPs-TFOは通常のTFOよりも幅広い配列を標的にでき、かつ強く標的DNAに結合することが示されたので、本Ps-TFOの遺伝子増幅型がん細胞に対す抗がん剤としての可能性を探る。
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Causes of Carryover |
端数を低単価の物品費に当てるより、翌年度助成金と合わせて、物品費の購入にあてようと考えた。具体的には、機能性核酸の合成に必要な試薬の購入に充てる予定である。
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