2022 Fiscal Year Research-status Report
揮発性分子群の網羅的リアルタイムセンシングを利用した食品熟成過程の制御
Project/Area Number |
22K14841
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 航 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70908300)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガスセンサ / 食品 / フィードバック / 揮発性分子群 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)やガスセンサアレイを利用して取得した揮発性分子群の網羅情報を機械学習によって解析することで、人や食品、環境の状態を識別する研究が活発に行われている。特に食品の揮発性分子群センシングでは、熟成度(腐敗度)の判別への応用が進んでいる。しかし、機械学習によって得られた揮発性分子指紋と熟成度の相関情報をフィードバックして、熟成過程を制御した例は存在しない。本研究では、「堅牢なガスセンサアレイを揮発性分子群のリアルタイムモニタリングに適用し、食品の熟成過程を多成分分子群の言葉(匂い)で理解した上で、この過程を制御すること」を目的とする。2022年度、非常に需要が大きく簡単に入手可能なバナナを対象として実験を行った。ガスセンサとしては、酸化スズ薄膜に金属・有機分子を修飾して分子群に対する反応性を変化させた4種類の半導体センサをアレイ化したものを作製して使用した。バナナの熟成によって刻一刻と変化する匂い分子群をガスセンサアレイによって10日間に渡ってリアルタイムモニタリングした。その結果、バナナの匂いから得られるセンサシグナルから、果物の味の重要な指標となる糖酸比を高精度で推測するモデルを構築することに成功した。現状、10日間連続で高湿度環境にてバナナの匂いを測定し続けることで、センサの抵抗値や感度が測定前から変化してしまうという課題がある。今後、測定前のセンサのエイジング方法の最適化やセンサ材料の変更によってセンサの堅牢性を改善した上で、バナナ熟成過程のフィードバック制御を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に作製したガスセンサアレイによって、様々な熟成度のバナナから放出される揮発性分子群(匂い)を測定することで、バナナの熟成度や味と相関性の非常に高い糖酸比を高精度で測定可能なモデルを構築することに成功しており、概ね順調な進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の最大の課題は、高湿度の過酷環境下で10日間という長期間に渡ってバナナガス分子をガスセンサアレイで測定し続けることによって、抵抗値や感度といったセンサ特性が測定前と変化してしまうことである。この課題を解決するために、測定前のセンサのエイジング方法の最適化やセンサ材料やセンシング方法の変更などを行っていく予定である。長期安定性に優れたガスセンサアレイが得られたら、これを使用してバナナ熟成過程のフィードバック制御に挑戦する。
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Causes of Carryover |
一部の物品(酸化物ターゲット)の購入タイミングが当初とずれたため。次年度に購入する。
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Research Products
(1 results)