2023 Fiscal Year Research-status Report
植物性タンパク質供給食品の創出に必要なナタマメタンパク質の物理化学的特性の解析
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22K14848
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
西澤 果穂 龍谷大学, 農学部, 講師 (30779252)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ナタマメ / カナバリン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、ナタマメの主要タンパク質であるカナバリンの溶解性が、塩濃度の違いにより可逆的に変化すること、水抽出したカナバリンは一量体として存在するのに対し、高塩濃度存在下におけるカナバリンは三量体として存在することを明らかにしている。前年度はカナバリンの溶解性に対するpHの影響を検討し、カナバリンはpH6.1以下で不溶化し、pH6.8以上で可溶化することを明らかにした。そこで当該年度は、カナバリンの分子構造に対するpHの影響を検討した。 これまでに確立している方法を用いて、ナタマメからタンパク質を豊富に含む抽出液を調製し、抽出液に15 mM塩化マグネシウムを添加することでカナバリンを不溶化させた。不溶化したカナバリンを蒸留水または10 mMトリス塩酸緩衝液(pH 7.6)を加えて懸濁した。その上清をゲル濾過クロマトグラフィーに供し、カナバリンの挙動を観察した。カナバリンの分子構造はpHの違いにより変化することが明らかになった。蒸留水中では不安定な一量体として存在し、緩衝液中では多量体として存在することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
pHの違いによるカナバリンの溶解性変化について再現性を確認したこと、実験条件の確立に時間を要したことから、課題研究の進捗はやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
これらの結果から、カナバリンと同様に7Sグロブリンで三量体を形成するタンパク質と分子構造を比較する。蒸留水を用いて各マメからタンパク質を含む抽出液を調製し、抽出液中のタンパク質について、SDS-PAGEおよびNative-PAGEによる挙動の変化、ゲル濾過クロマトグラフィーによる分子量の変化から性質を比較する。
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Causes of Carryover |
前年度の実験における再現性の確認と、実験条件の確立に時間を要したため、課題研究の遂行に遅れが生じた。そのことから、使用予定であった物品の購入に至らなかった。次年度には必要試薬および物品を購入し、実験を継続する。
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