2022 Fiscal Year Research-status Report
NASH病態における線維芽細胞の腸管バリア機構制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K14855
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石原 利乃 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 研究員 (20792633)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Leaky gut / 線維芽細胞 / 線維化 / NASH |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の発症・進展には腸管透過性の亢進による腸内細菌由来の抗原や代謝産物の経門脈的な流入と続発する肝臓内の自然免疫の活性化の重要性が明らかになってきた。本研究では腸管上皮透過性の改善に重要な新規腸管線維芽細胞の同定と機能解析より、新規NASH治療法の開発を目指すこととし、以下のように検証を進めた。 NASHモデルマウスの腸管線維芽細胞においてシングルセルRNA-seq解析を行ったところ、通常食マウスには存在しない細胞集団を同定した。この細胞集団は腸管上皮幹細胞の維持・機能に必須であるWnt、Rspo3などのニッチ因子が高発現していたため、腸管内dysbiosisの情報を受け取り、腸管上皮バリア機能の改善に寄与しているのではないかと考えられた。更に解析を進め、この細胞集団特異的な細胞表面マーカーを探索し、それを基に、どのような特徴をもつ細胞集団であるかをFACS解析にて調べた。一方、上記検討で用いた高脂肪・高コレステロール食によるNASHモデルマウスの作製には半年と長期間を要するため、より短期間で作製可能な代替モデルが使用できるかについて検討した。高脂肪・高コレステロール食では、FACS解析にて腸管線維芽細胞集団の表現型が大きく変化したため、これを指標とし、メチオニン・コリン欠乏食および超高脂肪コリン欠乏メチオニン減量食において4-12週間、経時的に解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シングルセルRNA-seq解析により見出した細胞表面マーカーとなる因子のタンパク質発現解析(主にFACS)が難航している。また、短期間で作製可能なNASHモデルマウスでは腸管線維芽細胞集団の表現型に大きな差が認められず、本研究では当初のモデルマウスを用いることとし、作製に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
in situ hybridizationにてシングルセルRNA-seq解析により見出した因子の遺伝子発現および腸管組織中の局在を調べる。また、このアゴニストおよびアンタゴニストを投与したマウスにおいて、線維芽細胞集団の変動をFACS解析により検証し、NASH特異的線維芽細胞集団を増加もしくは除去する薬剤を特定する。
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