2022 Fiscal Year Research-status Report
Novel functions of small heat shock protein: analysis of translation control mechanisms
Project/Area Number |
22K14860
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三輪 つくみ 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (70912179)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 大腸菌 / 低分子量熱ショックタンパク質 / 翻訳制御 / タンパク質-RNA相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレスによって生じるタンパク質凝集(凝集体)は蓄積することで細胞毒性を示す場合がある。凝集体の処理にあたるのがシャペロンである。シャペロンの中でも低分子量熱ショックタンパク質 (small Heat shock protein; sHsp)は凝集体処理の初期ステップである凝集体の隔離を担っている。最近の応募者の研究から、大腸菌のsHspであるIbpAはシャペロンとしての機能以外に、mRNAとの結合を介して自身の発現制御機能も有していることがわかった。しかし、結合に際する詳細な機構は未だ不明である。本研究ではIbpA, ターゲットRNAの変異体解析、結合解析を通じてIbpA-mRNA結合の機構を解明することを目的としている。目的の達成に向け、当該年度ではIbpAの変異体解析によるIbpA-mRNA複合体形成における必要領域の決定を行った。その結果、過去の解析で判明していた変異体に加え、新たに複合体形成に必要な残基が判明した。この変異体は、予測上ではIbpAの構造を大きく変え得るものではないが、レポーターを用いた発現抑制能評価、ショ糖密度勾配遠心を用いたオリゴマー形成能評価および基質結合能評価によりIbpAのオリゴマー形成、基質結合性を大きく変化させるものであることが明らかとなった。今後この変異体と野生型IbpAの挙動を比較することは複合体形成における重要な足掛かりとなることが期待できる。 当該年度の結果からは複合体形成における必要残基が決定したものの、その部位が実際の結合領域であるかどうかは未だ特定されていない。今後IbpAにおける実際のmRNAとの結合部位を特定する上で、今回得られた変異体は有用な比較対象となることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画で予定していたIbpA変異体の取得に成功した。複合体解析についても準備が進行しているが、一方でRNAの細胞内構造を検証するための実験については未だ準備段階である。そのため、おおむね順調であるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
IbpA変異体の取得を経て、IbpA-RNA複合体形成における実際の結合箇所を特定するには部位特異的な変異体解析のみでは困難であることが予想される。そこで今後は変異体解析を介した生化学実験のみでなく、タンパク質、RNAの配列レベルでの責任領域探索を行う必要があると考える。詳細な責任領域の探索はクロスリンクを利用した質量分析および逆転写反応を利用する予定である。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた機器が所属施設で使用可能となったため。 またその分の助成金は今後の解析における委託解析などに利用する予定である。
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