2023 Fiscal Year Research-status Report
脂肪細胞分化調節における細胞外基質の硬さ環境の記憶形成機構の解明
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22K14861
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 美都 京都大学, 農学研究科, 助教 (00936627)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エピゲノム / 接着斑タンパク質 / 幹細胞分化 / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに細胞外環境を感知するメカノセンサータンパク質を欠損した間葉系幹細胞株を用いて、細胞全体におけるヒストン修飾(メチル化)について解析した。今年度は、昨年度に引き続いてクロマチン免疫沈降実験により、この修飾変化が生じている特定遺伝子領域の同定を行った。メカノセンサータンパク質ビンキュリンの発現抑制細胞において、野生型細胞に比べ、骨芽細胞への分化を抑制する因子Meflin遺伝子のプロモーター領域のヒストンのリジン残基トリメチル化修飾が増加すること、逆に脂肪細胞への分化を促進するPPARg2遺伝子のプロモーター領域のヒストントリメチル化が増加する傾向にあることが分かった。さらに、ビンキュリン同様にメカノセンサーとして働くCAPについて、CAPの発現抑制細胞を用いても、ビンキュリン発現抑制細胞と同様の傾向がみられた。続いて、培養基板の硬さの「記憶」仮説を検証するため、培養日数の違いによる修飾量の変化について検討を行っている途中である。 また、メカノメモリーの起点となるメカノセンサー分子ビンキュリンについて、分子構造変化の解析を行った。その結果、不活性化型から活性化型にかけて複数の構造状態を見出すことができた。今後このことと、メカノメモリー形成との関連についても調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メカノメモリーの分子実体となる可能性のあるヒストン修飾とその遺伝子領域を見出すことができ、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
メカノセンサーの発現に応じて、変動するヒストン修飾を担うエピゲノム酵素を同定する。具体的には候補となる遺伝子をsiRNAにより発現抑制実験により同定する。同時に、脂肪細胞への分化評価を行い、間葉系幹細胞の分化との関連について調べていく。また、見出したエピゲノム酵素とメカノトランスドゥーサーである転写因子との関連についても調べる。
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Causes of Carryover |
一年目において予算の繰越が発生した分を次年度に繰り越す流れとなった。今年度についてはおおむね順調に実験が進行し、予定額を使用した。
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