2022 Fiscal Year Research-status Report
製パン適合性向上のためのコメデンプンおよび貯蔵タンパクの遺伝的改変
Project/Area Number |
22K14869
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 哲洋 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (60871374)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 米粉パン / 新奇デンプン / 米タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
製パン適合性を有する水稲品種の作成という研究の目的のため、5カ年の研究実施計画の初年度に当たる令和4年度は主に材料作成を行った。すなわち、低結晶性胚乳デンプンを合成するリーキー型イネ<i>sugary1</i>変異体と、高分子型貯蔵タンパク(グルテリン前駆体)を蓄積するイネ胚乳貯蔵タンパク変異体の遺伝形質を併せ持つ後代の作成のため、両者の交配を行った。また、本研究で用いるイネ胚乳貯蔵タンパク変異体の多くはその原因遺伝子が明らかとなっていないことから、遺伝解析の材料作製のため野生型との戻し交雑も併せて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水稲品種作成というテーマの性質上、本件は時間を要する研究課題であり、それゆえ初年度となった令和4年度は主に交配による実験材料作製を行った。また、本研究で用いる材料のうち、イネ胚乳貯蔵タンパク変異体も戻し交配による材料作製の段階にあり、解析までにはまだ時間を要する状態である。しかしながら、他方の研究材料であるリーキー型イネ<i>sugary1</i>変異体については変異部位特定等の解析を完了しており、それを令和4年度中に論文発表できなかったことは大いに反省すべき点と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終目標は低結晶性デンプンと高分子化貯蔵タンパクを併せ持つ水稲品種の作出であるが、イネの交配後代の作成にはまだ時間を要するため、それに先立ち両者の併用効果を明らかにしたい。すなわち、リーキー型<i>sugary1</i>変異体から低結晶性デンプンを、グルテリン前駆体(高分子型グルテリン)蓄積変異体より胚乳貯蔵タンパクをそれぞれ単離し、それらの混合比率を変えて米粉パンを作成することで、製パンに適した低結晶性デンプンの比率、および高分子型グルテリンの含量を明らかにしたい。これにより、品種作出に先立って両者のコメ粉パン品質向上への寄与を評価することが可能になるとともに、本研究課題の遂行に有益な指針を与えると期待される。 また【現在までの進行状況】においても述べた様に、リーキー型sugary1変異については令和5年度中の論文発表を行いたい。
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