2023 Fiscal Year Research-status Report
Identification of genes related to root development of Japanese cultivated radish
Project/Area Number |
22K14870
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
白井 一正 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 研究職員 (90816654)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ダイコン / 進化 / ゲノム / 栽培化 / 人為選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本栽培大根が持つ、根が大きく成長する優良形質に関わる遺伝子を、解明することを目指す。これまでに、申請者は所属研究室が保有する大根のSNPデータと新規ゲノム配列を用いた系統・進化解析により、この優良形質に関わる遺伝子の有力候補を同定していた。これを基に、本研究では、より詳細な候補遺伝子の選抜を行う。さらに、最終的に近縁種であるシロイヌナズナを利用し、この遺伝子の機能の解明と、近縁種に優良形質を付与できるかという応用可能性を示すことを目指す。 2023年度は、遺伝的多用度、Fst、選択的一掃の形跡に加えさらに、既知の遺伝子機能などを徹底的に調査し、候補遺伝子を再検討した。この結果、日本の栽培系統のみが人為選択を受ける、3つの異なった機能を持つ遺伝子が候補として残った。一つ目が、リグニン合成に関わり、根の成長に関わる可能性のある遺伝子。2つ目が、オーキシンに関わる遺伝子。3つ目が、温度応答性の胚軸伸長に関わる遺伝子である。このように、3つの候補遺伝子は、それぞれ異なった働きによって、大根の地下部の成長を変化させる可能性が高い。しかし、これらの機能は、シロイヌナズナのオーソロガス遺伝子の機能であり、日本栽培大根の遺伝子がどのような機能を持つかは不明である。これらの遺伝子を35Sプロモーターで過剰発現するベクターを構築した。さらに、現在、アグロバクテリウムによりこれをシロイヌナズナに導入し、形質転換体の構築を進めている。今後、これを使い、3つの候補遺伝子の持つ機能を表現型解析により、明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補遺伝子について選抜をし直したが、形質転換体の構築まで順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
形質転換体の構築が完了次第、表現型解析を実施する。これにより、野生型と比較し、地下部の成長に変化が現れるか検証する。また、地下部に影響が出た場合には、野生種の遺伝子を導入した場合はどうなるか、またその違いについて、検証を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた候補遺伝子から新たに遺伝子を選定し直したため、実験計画に変更が生じた。形質転換体の構築を担うパート職員の雇用や、京都大学へ移動したが、形質転換体の構築や表現型解析は引き続き九工大で行うため、その出張費として使用する計画である。
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