2022 Fiscal Year Research-status Report
An ultra-rapid 3D imaging method for crop root systems in soil using image processing
Project/Area Number |
22K14871
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
寺本 翔太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (20815534)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ディープラーニング / ノイズ除去 / 根系構造 / 非破壊計測 / エックス線CT |
Outline of Annual Research Achievements |
短いスキャン時間でノイズの増加したエックス線CT画像(以下、低画質CT画像)からノイズを除去するために、以下2種類の深層学習モデルを構築した。1) 低画質CT画像から長いスキャン時間でノイズの少ないエックス線CT画像(以下、高画質CT画像)への画像変換をディープラーニングで記述し学習させた。この変換は一般的にノイズリダクションと言われている。2)高画質のCT画像から根の領域のみを抽出し、根のマスク画像とした。低画質CT画像から根のマスク画像への画像変換をディープラーニングで記述し学習させた。この変換は一般的にセグメンテーション(領域ごとにラベル分けする深層学習タスクの一つ)と言われている。セグメンテーションはノイズ除去ではないが、出力される根のマスク画像をノイズのない根のみの画像ととらえることができる。 どちらのモデルを用いた場合でも低画質CT画像からノイズ成分を除去することができた。ノイズリダクションでは、全体的に画像がぼやけた。ディープラーニングを用いないノイズ除去では、近傍のピクセルの値を参照し平均値や中央値に置き換える平均値フィルターや中央値フィルターが用いられることがある。今回のノイズリダクションのモデルでも似たような画像変換となったと考えられる。セグメンテーションモデルでは、一部ノイズに負けてしまうような薄い根に関してはセグメンテーションがうまくいかなかったが、全体的に効率よく根のセグメンテーションを作成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、①ディープラーニングを用いたエックス線CT画像内のノイズ除去およびその技術を用いた作物根系の迅速なエックス線CT撮影法の確立、および②多品種を用いたGWAS (genome-wide association study) を実施することにより根系形質に関わる遺伝的領域を検出し、本手法の有用性を証明することを計画している。令和4年度は、①において、ノイズリダクションおよびセグメンテーションによるエックス線CT画像内のノイズ除去を試み、どちらのモデルでもノイズを低減できることを確認した。令和5年度は開発した技術を用いて②を実施することにより、両計画とも達成できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、環境ストレス耐性に重要とされている土壌中の根の分布について、GWASを行い関連する遺伝子領域を特定する。栽培スペースの問題から、当初予定していた室内ではなく水田にて栽培を行い、土壌ブロックを収集する。水田から収集した土壌ブロックをエックス線CTで迅速撮影し、本研究課題で開発したノイズ除去のプログラムを用いることにより画質を復元する。復元した画像から根の分布に関するパラメータを抽出する予定である。今回用いる集団はGWASの実施経験がありゲノム情報が完備されていることから、順調に計画を実行できると考えられる。
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Causes of Carryover |
物品費として機械学習用PCの購入を挙げていたが、すでに整備されていたPCが十分利用できたため購入およびアップグレードを実施しなかった。また、旅費に関しては新型コロナウイルスの感染対策によりオンライン開催の学会が多く、使用しなかった。一方、次年度は計測に使用しているエックス線CT装置の定期メンテナンスでまとまった費用が必要になり、また室内栽培から野外栽培へ予定を変更したことにより、野外での作業員の人件費が予定より多く必要になった。したがって、本年度の人件費も次年度に繰り越し、次年度使用額に計上することにより対応した。
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