2023 Fiscal Year Research-status Report
An ultra-rapid 3D imaging method for crop root systems in soil using image processing
Project/Area Number |
22K14871
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
寺本 翔太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (20815534)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非破壊計測 / エックス線CT / 根系構造 / QTL / イネ / 水田 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度開発したセマンティックセグメンテーションに関する論文を海外の科学雑誌に投稿した。また、根系解析に関する総説を日本の科学雑誌に投稿し採択された。日本の水稲133系統について根系のゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。ゲノム情報が既に解析されている133系統を用いた。研究計画時では室内でポット栽培したイネ根系のGWASを行う予定だったが、栽培施設の利用状況から圃場(水田)での栽培に変更した。登熟後、水田から根の形を保ったまま土壌ブロックを掘り上げX線CTで3次元画像を撮影した。水田土壌は粘土質であり根系の抽出が容易であったため、セマンティックセグメンテーションは行わず、他プロジェクトで開発された畳み込み演算に基づいた抽出アルゴリズムを用いた。 根長、根直径および根の伸長角度を計算し、それらの値を用いてGWASを行った。その結果、ゲノムの3箇所から量的遺伝子座(QTL)を検出した。そのうちの1つは過去に同じ集団を用いて水耕栽培で根系形質に関してGWASを行ったときに検出されたQTLと一致した。水耕栽培と圃場栽培の両方で検出されたことから、幅広い栽培環境でも効果があるQTLであると推定された。 従来、土からの根の洗い出しと計測に時間がかかっていたため、圃場から収集した土壌ブロックを用いて根系の遺伝解析を行うことは難しかった。本研究の結果、概算ではあるが、従来手法では500人日以上かかっていた土壌ブロックを用いた根系の遺伝解析が10人日まで短縮された。まとめると、本手法がイネ根系の遺伝解析に十分有用であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度では栽培を室内のポット栽培から野外水田の圃場栽培に変更したが、ゲノムワイド関連解析による根系遺伝子座の検出が可能なことが実証できた。ほぼ計画通りの進捗であり、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果の論文化を行い研究成果を公表する。
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Causes of Carryover |
令和5年度に投稿した論文の査読に時間がかかっており、掲載費およびオープンアクセス費の請求が令和6年度にずれ込んでいる。また、論文の追試で消耗品類の購入費や実験補助員の人件費、追加解析に必要なX線CT撮影装置の保守点検費などが必要と考えられる。
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Remarks |
SStrainer3Dは本研究で開発されたプログラムを論文査読用に公開したものである。
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