2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K14899
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
坂本 卓磨 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 特任助教 (80895756)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 血縁認識 / 寄生蜂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,性特異な利他的行動に着目し,性特異に競争者を排除し血縁者を防御する分子メカニズムの解明を目指している. 本年度は昨年度に引き続き,性特異的に発現する遺伝子に着目し研究を進めた.昨年度得られたトランスクリプトームの解析結果から,兵隊幼虫で血縁認識に関与されると予測される分子の候補を抽出した.これらの遺伝子発現を,兵隊幼虫の部位ごとで比較したところ,認識に関与されると予測される部位で発現が高いことが明らかになった.そのため,これらの遺伝子をcDNAクローニングしCDS領域の配列を決定した.そして,これらの候補遺伝子が実際に認識に関与するのかを明らかにするために,機能阻害実験を行うためにdsRNAを作製した.これらの候補遺伝子が兵隊幼虫のどの部位で特異的に発現しているのかを明らかにするために,これらの候補遺伝子に対する抗体を作製した. 次に,透過型および走査型電子顕微鏡を用いて,兵隊幼虫の詳細な構造を観察した.その結果,認識に関与すると予測される構造を見出した.他種の生物との比較から,この構造がどのような器官なのかを明らかにする予定である. これらの得られた候補遺伝子が実際に血縁認識に関与するのかを検討するために,培養環境下での評価系を構築し,実際に血縁間と非血縁間で攻撃行動が起こるのかを確認した.その結果,昨年度実施したときより,発生が進んだ段階でも培養環境下において認識行動が起こることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
性特異的な利他的行動を支配する遺伝子の解明を目指し,初年度で得られたトランスクリプトームから,本年度は当初の計画通りに同種同系統を見極める「目印」の候補を明らかにすることができた.現在はこの得られた目印の候補遺伝子の機能解析を行っている段階である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果により,血縁認識に関与すると予測される分子の候補を明らかにした.よって今後の研究の推進方策としては,得られた候補遺伝子に対するRNAiの効果の確認と,免疫染色による発現部位の特定である.得られた候補遺伝子の機能を阻害することができた場合には,実際に血縁認識行動がどのように変化するのかを,培養環境下で明らかにする.
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Causes of Carryover |
最終年度でより多くの消耗品を使用する免疫組織学的実験を行うために,次年度に一部の予算を繰り越した.
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