2022 Fiscal Year Research-status Report
Do sika deer eliminate Japanese serows?: exploring for evidence of interspecific competition using behavioral, nutritional, and hormonal analysis.
Project/Area Number |
22K14909
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
高田 隼人 東京農工大学, 農学部, 特任准教授 (80816968)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 種間競争 / ニホンカモシカ / ニホンジカ / 採餌効率 / ストレス / 警戒行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニホンカモシカ(以下、カモシカ)は日本の山岳生態系を代表する大型草食獣であるが、近年全国的に個体数が減少傾向にあり、一部の地域個体群は絶滅が危惧されている。そのため、カモシカの減少要因の解明は本種を含めた山岳生態系の保全のために喫緊の課題である。カモシカの個体数減少の要因として同じく大型草食獣であるニホンジカ(以下、シカ)との種間競争の可能性が指摘されているものの、このことを明確に示す研究はこれまでにない。本研究では、シカ密度の異なる環境条件の類似した2つの地域において、シカによる植生への影響、カモシカ個体の行動・栄養・生理状態、個体群パラメータ(繁殖成功率・成幼比・個体群密度)を比較する。これによりシカが直接的もしくは間接的にカモシカに与える負の影響を検出し、競争の証拠の提示とカモシカの減少メカニズムの解明を目指す。 2022年度は(1)シカの相対密度の評価、(2)植生の評価、(3)カモシカの行動の評価、(4)カモシカの生理ストレスの評価を実施した。その結果、(1)シカの糞塊密度は二つの調査地間で約4倍の差があること、(2)シカ高密度地域では忌避植物(マルバダケブキ・コバイケイソウ)の株数が多く、広葉草本の多様性が低く、食物資源がグラミノイド(イネ科・カヤツリグサ科)に偏っていること、(3)シカ高密度地域ではカモシカの警戒頻度が高く、春の採餌効率が低く探餌労力が高い傾向があること、(4)シカ高密度地域のカモシカの糞中コルチゾール濃度はシカ低密度地域に比べて高い傾向があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、フィールド調査の実施ができ、データの取得が行えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
「カモシカの行動の評価」はサンプル数を増やすために今後も継続して行動観察調査を実施する。カモシカの「繁殖成功率」「個体群密度」「齢構成」を明らかにするために個体識別を実施しているが、こちらも経年的なデータが必要であることから継続して調査を実施する。さらに、カモシカとシカの直接的な干渉競争の有無を評価するために、2種間の交渉を観察する予定である。カモシカの採食物の栄養学的な質を評価を実施するために、糞の粗たんぱく質含有率と総繊維(NDF)の分析を実施予定である。
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