2023 Fiscal Year Research-status Report
雑草木の成長・再生速度の解明:林業における初期保育への応用
Project/Area Number |
22K14922
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
福本 桂子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (30822712)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 林業 / 下刈り / 雑草木 / 先駆種 / プロセスベースモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
下刈りは造林樹種以外の雑草木を刈り払う作業のことで、スギやヒノキの成長を促すために必要な作業とされてきた。本研究では、造林樹種との競争相手である雑草木に着目し、主たる雑草木の成長・再生速度を種別にモデル化する。対象樹種はアカメガシワ、エゴノキ、クマイチゴ、ソヨゴ、タラノキ、ヌルデ、ハイノキ、リョウブといった先駆種を中心とする8種である。令和5年度は、下刈り回数が対象樹種の直径、樹高、本数に与える影響を明らかにするために現地調査を実施した。その結果、雑草木の直径と樹高は下刈り回数間で有意差がみられ、下刈り回数が少なくなるほど雑草木のサイズは有意に大きくなる傾向がみられた。その一方で、本数は下刈り回数間で有意差がみられなかった。樹種別に見ると、アカメガシワ、エゴノキ、ソヨゴ、タラノキ、ハイノキ、リョウブでは下刈り回数が少なくなるほど直径や樹高が有意に大きくなった。その一方で、クマイチゴ、ヌルデは下刈り回数間で樹直径や樹高に差がみられなかった。また、アカメガシワ、エゴノキ、クマイチゴ、タラノキは下刈り回数と本数の間に大きな差はみられなかったが、萌芽更新するソヨゴ、ハイノキ、リョウブは下刈り回数によって本数が異なった。ソヨゴとリョウブの本数は下刈り回数が多いほど減少する傾向がみられ、ハイノキは下刈り回数が増加するほど本数も増加する傾向がみられた。これらの結果は、樹種によって下刈りの影響の受け方が異なることを示しており、下刈りの要否を判断する基準を検討するための基礎的知見になり得ると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、主たる雑草木の成長・再生速度を明らかにするためにプロセスベースモデルを導入した成長解析を行う。今年度はモデル化に必要な樹種別の樹高、直径、本数のデータを取得できた。当初の予定通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査で得られた各樹種の雑草木のデータと、同試験地で得られた気象データを合わせて下刈りの影響を考慮した樹種別の成長モデルを構築する。
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Causes of Carryover |
調査地に繋がる林道の整備に伴い、現地調査に支障がでた。次年度は物品購入、旅費、人件費に使用する。
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