2023 Fiscal Year Research-status Report
大断面材の断面寸法・木取りが乾燥応力に及ぼす影響の実験的解明
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22K14928
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
村野 朋哉 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (30845243)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 木材乾燥 / 大断面材 / 乾燥応力 / 横断面分布 / スギ |
Outline of Annual Research Achievements |
大断面材は乾燥過程でどのような乾燥応力分布を形成するのか、そしてその応力分布は断面寸法や木取りの影響を受けるのかを実験的に明らかにするのが本研究の目的である。 令和5年度では断面の縦横比を固定して断面の大きさを変えた平角の乾燥応力の変化を調べた。具体的には断面寸法が異なるスギ心持ち材の横断面内における解放ひずみ分布を測定することで、断面寸法の違いが乾燥応力に及ぼす影響を明らかにすることを試みた。エンドマッチした、幅が異なる3種類の断面寸法(100 mm×150 mm、120mm×180 mm、140 mm×210mm)の心持ち材を用意し、乾燥試験を行った。乾燥後、中央部から15mm厚の木口試験片を切り出して2種類の方法で分割し、画像解析によって横断面内における解放ひずみの1次元分布および2次元分布を測定した。 その結果長辺中央部の表層では圧縮応力が確認されたが、一方で短辺中央部の表層では圧縮応力が確認されなかった。また、この傾向は3種類のすべての断面寸法で同じであった。前年度は心持ち平角の幅を変えて同様の試験を行ったが、その時の結果と異なり、本年度の結果では断面の違いによる影響はあまり見られなかった。このことから、断面の大小以上に断面の縦横比が乾燥応力に大きな影響を及ぼすと考えられた。これらの知見は、乾燥割れの発生を抑えた乾燥方法の開発に繋がる知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究を進め、今年度予定していた試験を完了したことから(2)おおむね順調にしているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、木取りおよび断面寸法を変えて試験を行うことで断面寸法や木取りが乾燥応力に及ぼす影響を網羅的に明らかにする。令和6年度は心去り平角の採材位置を変えた際の乾燥応力の変化を調べる。これまでに蓄積したデータを統合し、断面寸法と木取りが乾燥応力に及ぼす影響を明らかにする。また、前年度に九州大学より移設した小型の恒温恒湿装置も併用することで、乾燥条件の違いが及ぼす乾燥応力の影響についても検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
試験に用いる乾燥機の故障が原因で試験計画にズレが生じてしまったため、令和5年度調達予定だった平角材の調達をR6年度に先延ばしすることにした。これは、乾燥試験に用いる平角材が乾燥前に乾いてしまうことを避けるための措置である。 次年度使用額276898円はR5年度調達予定だった平角材の購入費に充てる予定である。
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