2022 Fiscal Year Annual Research Report
木質ボードの熱圧工程における接着剤の硬化度を推定する技術の確立
Project/Area Number |
22K14929
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
村山 和繁 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 任期付研究員 (80866327)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 木質材料 / 木質ボード / 熱圧工程 / 近赤外分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、熱圧工程におけるマットの近赤外吸収スペクトルをプローブにより測定する技術を用いて、木質ボードの熱圧工程におけるマットの接着剤の硬化度を推定する技術を確立することを目的とする。本年度は、接着剤未添加のマットを用いて以下2点の検討を行った。 マットのスペクトルをプローブで測定する場合、原料となる木材小片の不均一さに由来するマットの空隙やプローブとの接触状態の違いなどによる外乱が接着剤硬化度の推定の妨げになる可能性がある。そこで、安定した近赤外吸収スペクトルの測定が可能な木材小片のサイズを明らかにするため、目開き1.7mmから6.7mmの篩で分級したスギストランドを用いたマットのスペクトルを測定し、各波長のスペクトルの標準偏差を算出してばらつきを評価した。目開き6.7mmの篩で分級した条件は他の条件よりも水や遊離アルコールのOH基に由来するピーク(5210cm-1)の標準偏差が大きくなった。大きな小片はこれらの成分の分布にばらつきがあるため、安定性が減少したと考えられる。一方、4mm以下の篩で分級した条件については、大きなばらつきは見られなかった。そのため、一定サイズ以下の小 片を用いたマットでは、同程度のスペクトルの安定性があると示唆された。 続いて、熱圧工程におけるマットの木材小片の成分の熱による変性や蒸発による水分の変動の影響を把握するため、含水率3%から30%まで調整したストランドを用いたマットの熱圧中の近赤外スペクトルの経時変化を測定した。含水率3%のマットでは、熱圧時の温度上昇に伴う木材のフェノールのOH基(6910cm-1)および水や遊離アルコールのOH基に由来するピーク(5210cm-1)の変化が見られた。そのため、本手法により熱圧中のマットの木材成分と水分それぞれの変動を捉えることができることが示唆された。 本研究の成果の一部は第73回木材学会大会で発表した。
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