2022 Fiscal Year Research-status Report
昆虫摂食がトリガーとなる海産魚類の魚病耐性獲得機構の解明
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22K14946
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Research Institution | Research Institute of Environment, Agriculture and Fisheries, Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
大福 高史 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 研究員 (10838395)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 昆虫飼料 / アメリカミズアブ / マダイ / エドワジエラ症 / 抗菌物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカミズアブ等の昆虫摂食が様々な魚類に魚病耐性を付与することが見いだされつつある。本研究では、アメリカミズアブを摂食したマダイの免疫応答の変化と、アメリカミズアブ由来の抗菌物質を解析することで、エドワジエラ属細菌によって引き起こされる魚病への耐性獲得メカニズムを明らかにすることを目的としている。 初年度となる本年度は、課題1『エドワジエラ属細菌の感染実験方法の検討』と、課題2『抗菌物質の探索』に取り組んだ。 課題1については、約1ヶ月間アメリカミズアブを含む飼料をマダイ稚魚に給餌した後、腹腔内注射法又は浸漬法でエドワジエラ属細菌に感染させ、経過観察を行った。今回の実験では、マダイが短期間で斃死するなどして実験方法の確立までには至っていないが、飼料中に含まれるアメリカミズアブの割合や感染させる細菌濃度を最適化する等、さらなる条件検討を進める。 課題2については、寒天平板培養法及び液体培養法により、エドワジエラ属細菌に対するアメリカミズアブの抗菌活性を評価した。その結果、アメリカミズアブ粗抽出液において、エドワジエラ属細菌に対する抗菌活性が検出された。本粗抽出液では、その他の魚病細菌(エロモナス属細菌)等でも抗菌活性が検出されたことから、広い抗菌スペクトルを有することが明らかとなった。さらに、抗菌物質の同定に向けて、本粗抽出液を逆相クロマトグラフィーにより分画し、抗菌活性を示す画分を取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、エドワジエラ属細菌の感染方法等に関する基礎的な条件検討を実施できた。また、アメリカミズアブにおける抗菌物質の検出と、抗菌スペクトルに関する知見を得ることができ、抗菌物質の同定に向けた実験にも着手できた。これらより、次年度以降の研究にもつながる知見を得ることができたと考えており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1については、アメリカミズアブの配合割合を変えた複数種の飼料を調製して最適な給餌方法を検討するとともに、感染させる細菌濃度を複数パターン試行する等、感染実験の条件検討をさらに進める。それと同時に、免疫関連酵素の活性測定や免疫関連遺伝子の転写動態解析等を実施する。 課題2については、液体クロマトグラフィー等により、精製・物質同定に向けた実験を進める。
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