2022 Fiscal Year Research-status Report
Basic research for the development and dissemination of a next-generation support model for new farmers
Project/Area Number |
22K14961
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
高津 英俊 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (40825759)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 新規就農 / 第三者経営継承 / 新規参入者 / 支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、各自治体等における就農支援施策および実践する個別経営体を対象に、生産品目/経営組織の違いに着目した各地の事例調査をもとに、次世代型就農支援モデルの提示を行うための要素を導出することである。 本年度は以下に示す3つの研究課題に取り組んだ。第1に、わが国による新規就農支援施策の展開と、現時点での実態に関する調査研究を実施した。過去に農林水産省が発表した各種資料等をもとに、戦後農政における新規就農支援施策の展開を明らかにした。これに加えて、農林水産省経営局への聞き取り調査から、現在の施策について理解を深めた。これらの情報をもとに、包括的な検討が実施されてこなかったわが国における新規就農支援の政策展開をまとめている。 第2に、わが国の市町村における新規就農支援施策の現状分析を実施した。全国新規就農相談センター調査「令和3年度 市町村の就農支援情報」を対象に、地域ブロックと就農支援分野のクロス集計を実施し、集計結果に対してコレスポンデンス分析を行った。これにより地域ブロックと支援分野の関係性を可視化して把握することができた。 第3に、酪農および果樹園地の第三者経営継承システムに関する調査研究を実施した。従来実施されたことがなかった女性による酪農場の第三者継承と当該女性のライフステージの変化への対応について調査、検討を実施した。加えてリンゴ王国である青森県での樹園地継承制度の実態分析も併せて実施している。 上記の3つの調査研究から、次世代型就農支援システムを検討するための基底となるデータを収集することができた。来年度以降は、他の作目・品目、土地利用形態の異なる事例分析を行い、更なるデータの蓄積を実施していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症が第2類感染症から第5類感染症に移行したことで調査地域への移動や対面による聞き取り調査が可能となった。このため、統計資料や先行研究などの資料分析に加えて、遠く離れた広島県や青森県など積極的な現地調査を実施することができた。 次年度以降も、対面による調査が可能な状況が続くと予測されるため、更に詳細かつ頻度の高めた経営調査を実施していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、畜産・果樹・野菜・稲作など生産品目毎の就農支援制度の事例調査を行い、類型化したうえで就農支援制度の実態解明を実施する。その際、各実践事例の支援事業立案者及び実践を行う経営者に対する調査を実施し、就農支援モデルに関する設計志向や将来ビジョンをどのように考えているかを調査していく。また、事業を利用した就農者に対しては、先行研究にもあるような就農プロセスとその後の定着調査に加えて、生産品目毎にみられる経営課題の抽出を行う。 施設野菜分野の現地調査としては、新規就農の人気分野である施設野菜分野の就農支援の特徴と経営初期の課題とその特性を解明する。具体的には就農支援実績の豊富な事例として岐阜県・JAひだ飛騨地域トマト研修所の取り組みや就農支援の革新的事例として宮城県・株式会社GRAなどの事例分析を実施していく。 前年度に引き続き、果樹分野の新規就農支援の取り組みについても更なる知見を蓄積していく。成樹化までに年月を要する果樹分野で就農トレーニングと第三者経営継承をミックスして実施する事例からその特徴と経営初期の課題特性を解明する。具体的には就農支援実績の豊富な事例として長野県・JA信州うえだファームの就農支援の取り組みを、就農支援の革新的事例として和歌山県有田市「AGRI-LINK IN ARIDA」の取り組みについて現地調査を実施する。 次年度は、綿密な現地調査により就農支援の現場における最新の情報を蓄積するものとる。地道な現地調査の積み重ねにより、既往の知見をリニューアルするとともに、次世代就農支援モデル構築のための基礎を構築していく。
|
Causes of Carryover |
研究以外の業務負担(大学院生の教育指導など)が増加したため、研究に充てられる時間が減少した。このため、予定していた出張の一部を実施することができず、この分を次年度に実施する事が理由となる。
|
-
-
-
[Journal Article] 農産物直売所が地域農業者の経営に与える影響分析2022
Author(s)
竹田, 実咲, 石井, 洸, 北嶋, 日和, 木村, 恵実, 雲然, 琢哉, 山本, 法矢, 岡田, 直樹, 赤堀, 弘和, 高津, 英俊
-
Journal Title
秋田県立大学学生自主研究成果
Volume: 令和3年度
Pages: 1-4
Open Access
-
-