2022 Fiscal Year Research-status Report
地域河川における水中ラドン濃度の分布とモデルによる再現
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22K14965
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
城間 吉貴 琉球大学, 教育学部, 講師 (30781455)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 水中ラドン / 地下水湧出 / 地下水モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
水災害の理解および地域の水資源の持続的利用のためには,地下水循環に対する理解が必要不可欠である。しかしながら,河川水と地下水の交流については不明な点も多く,既存の数値モデルを用いた推定が,実測的な結果と異なることも少なくない。本研究では,河川における水中ラドン濃度の分布を数値モデルによって再現することを目的として,研究対象地域である福井県大野市において①大野盆地における河川水中ラドン濃度の詳細調査,②地下水中ラドン濃度の実験的評価と実測調査,③河川水中ラドン濃度の分布モデルの構築と再現性の評価の3つのテーマを継続的に実施する。 本研究は,①大野盆地における河川水中ラドン濃度の詳細調査,②地下水中ラドン濃度の実験的評価と実測調査,③河川水中ラドン濃度の分布モデルの構築と再現性の評価という3つのテーマから構成される。①では,本研究の対象地域である福井県大野市を対象として,河床からの地下水湧出によりラドン濃度が高くなっていることが示唆される水域において,河川の流向,川幅方向に一定間隔で採水を行い,河川水中ラドン濃度の分布を可視化する。②では,河川水中ラドン濃度推定モデルの初期値となる地下水中ラドン濃度を実験的に評価するため,大野市から得られた地質試料のラドン散逸係数,ラジウム濃度および土壌物性データを測定し,各地盤に固有の地下水中ラドン濃度を評価する。③では,これまでに得られた河川データと地下水中ラドン濃度を用いて,湧出量および湧出形態を変数とする河川水中ラドン濃度の2次元分布モデルを格子法を用いて構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するための最適なフィールドとして,福井県大野市を選定した。大野市には,一級河川である九頭竜川水系を構成する大小河川が流れており,市内には多くの湧水が点在する。市民の生活水源の多くは地下水に依存しており,湧水保全が長年にわたって実施されてきた。これらのことから,水循環基本法のモデル都市となっている。申請者は,2018年度から同市との共同研究を行なっており,本研究の基盤となる様々な研究情報を利用できる環境にある。本研究の実施についても同市の協力を得られる体制を構築済みである。 本研究では,①大野盆地における河川水中ラドン濃度の詳細調査,②地下水中ラドン濃度の実験的評価と実測調査,③河川水中ラドン濃度の分布モデルの構築と再現性の評価という3つのテーマを継続的に実施する。このため,本研究の遂行に必要な設備として,2023年度より実施する予定の河川水中ラドン濃度分布モデルの構築に向け,琉球大学にワークステーションを導入し,分布モデルの試作を行った。また,本年度から実施している水中ラドン濃度のグラブサンプリング調査および地下水中ラドン濃度の実験的評価のための実験環境を整備した。水中ラドン濃度のグラブサンプリング調査では,大野市内の複数の湧水のサンプリングを行い,水中ラドン濃度の測定を行った。その結果,大野市内の湧水中ラドン濃度はおよそ30Bq /Lであった。地下水中ラドン濃度のグラブサンプリング調査では,大野市内の土壌試料を採取し,ラドン散逸係数の実験的評価を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,2022年度に引き続き①大野盆地における河川水中ラドン濃度の詳細調査を行うとともに,②地下水中ラドン濃度の実験的評価と実測調査を実施する。河川水中ラドン濃度の調査では,これまでの調査によって地下水湧出によって河川水中ラドン濃度が高まっていることが示唆された2つの河川を対象としてより詳細な調査を行う。今後の調査では,3次元的に河川水のサンプリングを行い,水中ラドン濃度の3次元分布を明らかにする。また,②地下水中ラドン濃度の実験的評価と実測調査では,土壌試料に加えて岩石試料の採取を行い,岩盤から地下水へのラドン移行量を評価する。今後,これらの研究成果を取りまとめ,国際誌へ投稿する。さらに,2023年度から③河川水中ラドン濃度の分布モデルの構築と再現性の評価を実施する。水中ラドン濃度の分布モデルの構築には,格子法を用いる。そのため,前述した2つの河川において,水中ラドン濃度の測定とともに河川の流向,川幅,流速の測定を行う。構築したモデルを用いて河川水中ラドン濃度の推定を行い,実測値との比較を行う。
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Causes of Carryover |
大野盆地における河川水中ラドン濃度の詳細調査と地下水中ラドン濃度の実験的評価と実測調査のため,複数回の現地調査を予定していたが,新型感染症の影響を鑑みて現地調査の回数を減らすこととしたため,当該助成金が生じた。当該助成金と次年度分として請求した助成金は,予定していた河川水中ラドン濃度の詳細調査と地下水中ラドン濃度の実験的評価に関連した現地調査に使用するとともに,土壌・岩石のラドン散逸係数の評価のために必要なラジウム濃度の測定と大気中ラドン濃度の校正のために,弘前大学および核融合科学研究所において,測定および校正試験を行う予定である。
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