2022 Fiscal Year Research-status Report
狂犬病ウイルス感染初期の所属リンパ節における宿主応答の解析
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22K14994
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
君付 和範 大分大学, 医学部, 助教 (10829724)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 狂犬病 / 末梢感染 / マウスモデル / リンパ節 / 宿主免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
狂犬病は数ヶ月に及ぶ長く不定な潜伏期間を経て発症する。潜伏期間中の狂犬病ウイルスは中枢神経系以外の末梢組織に潜伏していると推測されているが、その期間中のウイルスの挙動およびそれに対する宿主反応は未だ明らかにされていない。所属リンパ節は末梢組織における異物排除に関わるので、狂犬病感染の感染機序から考えても感染成立に関わる重要な組織であると考えられる。そこで本研究では、異なる病原性の狂犬病ウイルスを末梢感染させたマウスの感染初期所属リンパ節における宿主遺伝子発現を比較解析した。 強毒株である1088株(wt)あるいは本ウイルスをNA細胞で30代継代させて得られた弱毒株(N30)をBALB/cマウスの右足蹠に接種し、接種3、5日目の右膝窩リンパ節におけるウイルス遺伝子量、および血中中和抗体価(VNA)を比較したところ、接種3、5日目共にN30が有意に高い一方で、wtについては、接種日目においても基準値の0.5 IU/mL以下であった。また、同部位における狂犬病ウイルス遺伝子は接種3、5日目共にN30の方が有意に検出された。さらに、同部位における宿主反応を解析するため、mRNAseqにより遺伝子発現解析を実施したところ、発現差異が認められた遺伝子はそれぞれ接種3日目ではwtが744遺伝子、N30が1,036遺伝子、接種5日目では、wtが427遺伝子、N30が625遺伝子であった。Gene Set Enrichment Analysisでは、接種3日目で免疫経路に関連した複数の遺伝子セットが発現上昇していたのに対し、接種5日目のwtではinflammatory response、IL6 JAK STAT3 Signaling、TNFA Signaling via NFKBの遺伝子群が発現低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の研究計画まで着手できたため、計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果をもとに、1088株と1088-N30株あるいは、接種5日目と接種3日目で発現に違いが見られた遺伝子について、リアルタイムRT-PCRによる定量解析を実施する。加えて、次年度は1088株を末梢感染させたマウスの膝窩リンパ節を経日的に採取し、透明化組織を作成、抗狂犬病ウイルス抗体及び種々の細胞マーカー抗体を用いて膝窩リンパ節における狂犬病ウイルスの局在及び経日的な感染動態を確認する。透明化組織での検討が難しい場合に備えて、電子顕微鏡での観察も検討する。
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