2022 Fiscal Year Research-status Report
養豚場における豚インフルエンザウイルスの感染流行動態の解明
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22K14995
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
奥谷 公亮 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 助教 (10907736)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 豚インフルエンザウイルス / 豚呼吸器複合病 / PRDC / 豚サーコウイルス / 豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
豚インフルエンザウイルス (SIV) は、8本の分節RNAをゲノムに持つ。一個体が複数のSIV株に同時に感染した場合、分節単位での遺伝子交雑 (遺伝子再集合) により、異なる性状を持つSIV変異体が出現する。豚インフルエンザは、豚呼吸器複合病 (PRDC) の原因となるものの、養豚場内におけるSIVの感染伝播様式は未だ分かっていない。そこで、本研究では、口腔液を検体とした簡易なSIV分離法を新たに確立し、養豚場内におけるSIVの流行動態を把握することを目的とした。 本研究では、ロープを用いて豚から口腔液を採材する手法を確立した。離乳豚舎における複数の豚群の口腔液を毎週回収し、SIV、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)、および豚サーコウイルス(PCV)の遺伝子検出を実施した。また、各ウイルス株の分離を試みた。さらに、咳やくしゃみの呼吸器症状の臨床スコアを評価し、各病原体と臨床症状の関連性を調べた。SIVの分離を試みたところ、H1N1亜型とH1N2亜型のSIVをそれぞれ1株分離に成功し、2株のH1N2亜型のSIV遺伝子が検出された。加えて、咳の臨床スコアが上昇する直前にSIV遺伝子が検出されたことから、SIVが早期の呼吸器症状の原因となり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、口腔液からウイルスを検出・分離しており、研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔液から分離したウイルスの性状解析を実施する。また、豚の血清を用いた中和試験を行い、ウイルスの抗原性に関する研究を実施する。
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Causes of Carryover |
豚インフルエンザウイルスの遺伝子解析が順調に実施でき、当初計上したPCR酵素等の試薬類の使用が減少したため、次年度使用額が発生した。 翌年度は、分離株の抗原性試験で多数の豚血清を試験する計画であるため、検体処理に係る費用として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)