2023 Fiscal Year Research-status Report
牛乳房炎におけるケモカインCCL28の発現機序と役割の解明
Project/Area Number |
22K15001
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
長澤 裕哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (20759352)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 牛 / 乳房炎 / ケモカイン / 傷害抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1) 乳房炎乳汁中におけるCCL28の動態と病態との関連、2) 乳腺上皮細胞におけるCCL28の合成と分泌、3) 黄色ブドウ球菌(SA)および大腸菌感染に対するCCL28の防御機能に関する解析を行い、牛の乳房炎に対するケモカインCCL28の発現機序と役割を明らかとすることを目的として研究を行った。スキムミルク中でCCL28をSAおよび大腸菌に添加した結果、SAおよび大腸菌の生存率が減少した。以上より、CCL28は乳汁中において乳房炎原因菌に対する感染への防御に寄与している可能性がある。次に、臨床サンプルにおけるSA性乳房炎の乳汁中でCCL28が発現しているサンプルが多く確認された。加えて、CCL28が発現している乳汁におけるSA特異的IgA抗体価は発現していない乳汁より有意に高かった。また、CCL28が発現している乳汁におけるSA特異的IgA抗体価は、健康乳汁を基準としたカットオフ値(平均±3倍標準偏差)より高い数値を示すサンプルが確認された。一方で、SA特異的IgG抗体価はCCL28の発現に関係なくSA性乳房炎罹患乳汁中で高かった。以上より、SA性乳房炎の発症による乳汁中CCL28の発現がIgA抗体の増加に関連する可能性がある。以上より、①CCL28は、スキムミルク中でSAおよび大腸菌に対する抗菌活性を示したため、乳汁中でも乳房炎の防御に寄与している可能性がある②SA性乳房炎の発症による乳汁中CCL28の発現がIgA抗体の増加に関連する可能性がある、ことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、CCL28が持つ乳房炎原因菌に対する抗菌作用および臨床現場における臨床型乳房炎サンプル中のCCL28とIgA抗体の発現について解析を行い、当初の予定通り、CCL28が乳汁中でも細菌感染後の乳房炎の症状緩和に寄与している可能性があること、SA性乳房炎の乳汁中CCL28とIgA抗体の発現に相関があることが示されたため、本課題はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針として、乳汁中CCL28の動態と病態との関連を明らかとするため、引き続き牛への乳房内実験感染および臨床現場において臨床型乳房炎の症状を呈した乳房炎の乳汁中CCL28の発現を解析する。
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