2022 Fiscal Year Research-status Report
イヌ・ヒト共通バリア因子の分解を介したヒト脱分化脂肪細胞のPROTAC型神経分化
Project/Area Number |
22K15002
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中野 令 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (60755619)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経リプログラミング / リプログラミングバリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、他動物種(イヌ)とヒトの比較オミクス解析情報から神経分化の障壁となる負のフィードバック機構を明らかにし、新規低分子化合物合成技術を応用することで、遺伝子導入フリーで安全な神経分化システムを確立することである。 本研究成果によって、従来行われていた遺伝子導入法や高濃度の化合物による危険性を減らすことができる。その結果、難治性神経疾患に対する安全な神経移植療法が実現可能となる。また、本研究計画の特色である比較オミクス解析情報と低分子化合物による誘導法の融合は、細胞の分化に関与する多くの未知機能タンパク質の網羅的解析を可能とし、任意の生理機能をもった移植細胞を作成できるようになることが期待できる。 申請者は、過去の研究で比較オミクス情報の違いに焦点を当てて研究を進めてきた。本研究では、申請者らが樹立したイヌとヒトの比較オミクス情報の共通点に焦点を当て、バリア因子を明らかにすることを試みた。さらに、低分子化合物による誘導法を応用しバリア因子による負のフィードバック機構を解除することで、ヒト脱分化脂肪細胞の不可逆的な神経分化を達成する。本研究で開発する比較オミクス解析情報と低分子化合物による誘導法を融合したアプローチは、神経細胞のみならずヒト細胞種を任意の細胞へ直接変換するためのブレイクスルーとなる。また、難治性神経疾患に対する神経移植を実現するための基礎技術を創出することが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者の予備検討の結果、イソキサゾール構造をもつ化合物が神経分化と類似したmRNA発現プロファイルを引き起こすことを見出した。予定を早め、イソキサゾール構造を基本とした新規化合物の合成に着手できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト脱分化脂肪細胞におけるバリア因子と分解効果をプロテオーム解析とウエスタンブロッティングを行って確認し、低濃度で作用できるPROTAC構造を明らかにする。さらに、ニューロフィラメントなどの神経マーカーの発現やカルシウムイメージングやパッチクランプなどの細胞機能解析を行ってPROTAC型神経分化システムを確立する。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりもスムーズに計画が進んだため。リプログラミング実験や細胞の機能解析をより詳細に行うことを計画している。
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Research Products
(7 results)