2023 Fiscal Year Research-status Report
微生物メタボリズムからのカンピロバクター腸炎発症メカニズムの理解
Project/Area Number |
22K15004
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
細見 晃司 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ヘルス・メディカル微生物研究センター, 主任研究員 (00755762)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カンピロバクター / 腸炎 / 微生物メタボリズム / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は『カンピロバクター腸炎モデルを確立し、病態形成メカニズムを包括的に理解し、さらに、抗体ライブラリなど独自の研究基盤を活用し、新規ワクチンシーズの探索などカンピロバクター感染症の予防法や治療法の開発に資する基礎研究を遂行する』ことである。これまでの検討から、カンピロバクターのエネルギー代謝が感染に伴う腸炎などの病態と密接に関わっていることが示唆されており、「微生物メタボリズム」の観点から病態形成を理解することを目指している。 昨年度までの検討から、カンピロバクター感染モデルについて、好中球浸潤を特徴とする腸炎の発症と菌の代謝活性の亢進が連動していることを見出しており、エネルギー代謝を標的とした感染制御の可能性が期待される。そこで本年度は、カンピロバクターに対する抗体ライブラリーから菌のエネルギー代謝や増殖を阻害できる抗体を見出し、抗原の同定など機能解析を進めた。さらに、同定した抗原をマウスに免疫し、特異的な中和抗体産生の誘導などワクチン抗原としての有用性を明らかにした。このように、本研究は当初の予定通り順調に進捗し、「微生物メタボリズム」の観点からカンピロバクター腸炎の病態形成メカニズムの解明を進めるとともに、新規のワクチン抗原候補の同定など感染制御に資する学術的知見の創出にもつながっていると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンピロバクター腸炎モデルの宿主側、ならびに腸炎を誘導する菌側の両観点からの解析を進め、菌のエネルギー代謝と腸炎の病態形成の関連が明らかになり、微生物メタボリズムの観点からカンピロバクター腸炎の病態形成メカニズムの一端を解明した。また、抗体ライブラリーを活用し、微生物メタボリズムを標的とした予防法の開発に資する学術的知見を得ていることから、本研究は当初の計画通りに進捗したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的をより精緻に達成するため、微生物メタボリズムを標的とした抗体の機能解析ならびに抗原のワクチンとしての有用性などに関する研究成果を論文や学会にて発表し、カンピロバクター感染症について理解を深める。
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Causes of Carryover |
本研究の目的をより精緻に達成するため、ワクチン評価などの追加実験を実施するとともに、研究成果を学会や論文として発表する。
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