2022 Fiscal Year Research-status Report
冬眠様選択的スプライシング制御による低体温障害耐性メカニズムの解明
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22K15009
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
堀井 有希 岐阜大学, 糖鎖生命コア研究所, 助教 (20888531)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 冬眠 / 低体温 / 低温ショックタンパク質 / 選択的スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
ハムスター等の一部の哺乳動物は、冬の環境下で体温を自発的に低下させる冬眠を行う。冬眠動物は冬眠時に低体温による障害がないことが知られている。Cold-inducible RNA-binding protein(CIRP)は低温によって誘導され、細胞保護作用に関与するタンパク質である。冬眠動物の驚異的な低温障害耐性機構に関与する可能性がある。申請者は、これまで、冬眠動物であるシリアンハムスターにおいて、冬眠中のCIRP遺伝子に特徴的な選択的スプライシングの変化が起こることを明らかにしてきた。この選択的スプライシングの変化により、冬眠動物は、平常時にはCIRP遺伝子は複数のスプライシングを発現する一方、冬眠時にはスプライシングバリアントが消失し、CIRP mRNAのみに発現が集約する。本研究は、CIRP遺伝子の各スプラシイングバリアントの機能とその制御によるCIRPの低温障害耐性メカニズムを解明することを目的とした。 申請者はこれまで非冬眠動物であるマウスにおいて、人為的に軽度の低温で維持することによって冬眠様の選択的スプライシングを再現することに成功してきた。本研究ではマウスにおけるCIRP遺伝子のスプライシング変化による機能を明らかにするため、CIRP遺伝子のスプライシングモチーフを編集したゲノム編集マウスを作製した。その結果、選択的スプライシングパターンの異なる複数系統のゲノム編集マウスを得ることに成功した。シークエンス解析により、ゲノム編集マウスの1系統は常に冬眠様の選択的スプライシングを発現していたことが明らかとなった。本マウスは常に冬眠型のスプライシングパターンを発現している。一方、他の系統のマウスではスプライシングモチーフが欠失・変異し、常に冬眠時に消失するスプライシングバリアントのみを発現していた。現在、これらのマウスに障害耐性能に違いがあるのかを検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定のとおり、スプライシングバリアントを特異的に発現するゲノム編集マウスを複数系統確立し、実験に供することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
各ゲノム編集マウスにおける生理機能および障害耐性能を明らかとし、CIRPの関与する障害耐性を明らかとする。また、CIRPの選択的スプライシングを変化させる因子についても検討し、ゲノム編集マウスの作成に取りかかる。
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