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2022 Fiscal Year Research-status Report

液-液相分離に着目したクリミア・コンゴ出血熱ウイルス複製複合体形成機構の解析

Research Project

Project/Area Number 22K15012
Research InstitutionNagasaki University

Principal Investigator

平野 港  長崎大学, 高度感染症研究センター, 助教 (30901029)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsアルボウイルス / ウイルス複製複合体 / RNA結合タンパク質 / 液-液相分離
Outline of Annual Research Achievements

ブニヤウイルス目は2/3分節(-)ssRNAをゲノムとして持ち、数多くの致死的な人獣共通感染症原因ウイルスが属す。代表例の1つであるクリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHFV) は最大30%の致死率となる出血熱を引き起こし、アフリカからユーラシアにかけ広く分布しており、本邦への侵入も危惧される。その感染機構は不明な点が多く、ワクチンおよびウイルス特異酵素/病態機構を標的とする治療法開発のための基盤情報が必要である。本研究では液-液相分離という現象に着目し、CCHFVの複製複合体形成機構の分子基盤の解明を試みる。本年度では、複製複合体の主要構成要素であるCCHFV核タンパク質(N)の結合宿主因子の網羅的解析を試みた。近位依存性ビオチン化酵素であるAirIDを融合したNタンパク質の発現系を構築し、細胞内にてNに結合(もしくは極めて近い空間的位置に存在する)宿主タンパク質をビオチン標識し、MS/MS解析にて同定した。結果、RNA結合タンパク質であるZFP36L1等の様々な宿主因子が同定された。一部のものについては免疫沈降法および間接蛍光抗体法により結合が確認された。また、これら因子を過剰発現させた際のウイルス複製の評価系であるミニゲノム系への影響を評価した。結果、ウイルス複製効率の低下が認められ、これら結合因子はウイルス複製を抑制する機能であることが示された。現在、具体的な複製制御機構についての解析を実施している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度では、複製複合体形成を制御する、宿主因子の同定を主要な目標として解析を実施した。研究代表者らの予備検討により、複製複合体の主要構成要素であることが示されているCCHFV核タンパク質(N)の結合宿主因子の網羅的解析を試みた。近位依存性ビオチン化酵素であるAirIDは共同研究謝である愛媛大学の高橋らにより開発された酵素であり、細胞内において近位に存在するタンパク質をラベル可能な酵素である。AirIDを融合したNタンパク質の発現系を構築し、細胞内にてNに隣接するタンパク質をMS/MS解析にて同定した。結果、種々のタンパク質群が同定されたが、中でも液‐液相分離形成に密接に係わるRNA結合タンパク質に着目し、以降の解析を進めた。同定された中でRNA代謝を制御するZFP36L1等、一部のものについては免疫沈降法および間接蛍光抗体法による結合が確認された。また、これら因子を過剰発現させた際のウイルス複製の評価系であるミニゲノム系への影響を評価した。結果、ウイルス複製効率の低下が認められ、これら結合因子はウイルス複製を抑制する機能であることが示された。過剰発現時にNタンパク質の細胞内局在の顕著な変化は認められず、依然、顆粒状の複製複合体形成は認められたことから、このZFP36L1のウイルス複製複製阻害効果については複製複合体形成とは独立したものであると考えられた。さらなる阻害機序の詳細については今後解析していく。

Strategy for Future Research Activity

本年度までの解析により、ウイルス複製の負の制御因子(抗ウイルスタンパク質)については同定されたが、複製複合体形成に係わる、正の制御因子については見つかっていない。引き続き解析を継続し、形成に必要な因子の同定を試みる。また、申請計画どおり種々のブニヤウイルスとの比較解析を通し、ウイルス種・病原性の有無による結合性の違いを検討する。さらに、液-液相分離はRNA動態に関わる分子の選択的な濃縮/隔離によりRNA動態のコントロールに重要な役割を持つこと、また、今年度までの解析により、様々なRNA結合タンパク質がNタンパク質と相互作用し、複製複合体に取り込まれていることが明らかになった。そこで、並行してNによる液-液相分離がウイルス複製および宿主RNA動態へと与える影響を解析し、ウイルス学的意義を明らかにする。具体的には、次世代シークエンシングによるトランスクリプトーム解析により、Nの発現によるRNA代謝に与える影響を解析する。また顕著な変動を示因子が認められた場合には、レポーター系を構築し、変動の分子メカニズムを解析する。Nタンパク質と相互作用を示す因子をノックダウンした際のレポーターの挙動を観察し、RNA代謝変化を引き起こすメカニズムを示す。これらの結果を総合し、ウイルス複製の制御機構の詳細を解析していく。

Causes of Carryover

研究計画の変更により、感染細胞の次世代シークエンシング等の高額の実験を次年度にて行うこととなったため繰越を行った。次年度前半に同実験に際しての試薬購入、外注での解析依頼により速やかに使用する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] A screen of FDA-approved drugs with minigenome identified tigecycline as an antiviral targeting nucleoprotein of Crimean-Congo hemorrhagic fever virus2022

    • Author(s)
      Minato Hirano, Yasuteru Sakurai, Shuzo Urata, Yohei Kurosaki, Jiro Yasuda , Kentaro Yoshii
    • Journal Title

      Antiviral Research

      Volume: 200 Pages: 105276~105276

    • DOI

      10.1016/j.antiviral.2022.105276.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Development and application of minigenome and transcriptionally compent virus-like particle systems of Crimean-Congo hemorrhagtic fever virus2022

    • Author(s)
      Hirano Minato、Sakurai Yasuteru、Urata Shuzo、Kurosaki Yohei、Yasuda Jiro、Yoshii Kentaro
    • Organizer
      第68回日本ウイルス学会学術集会
  • [Presentation] ミニゲノムおよび翻訳複製可能ウイルス様粒子系を用いたナイロウイルス複製機構の解析2022

    • Author(s)
      平野 港、櫻井 康晃、黒崎 陽平、安田 二朗、好井 健太朗
    • Organizer
      第165回日本獣医学会学術集会
  • [Presentation] Towards the understanding of pathogenic mechanisms of highly pathogenic arthropod-borne viruses2022

    • Author(s)
      Minato Hirano
    • Organizer
      2022 Protein Island Matsuyama Symposium
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2023-12-25  

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