2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of tumor infiltration molecular mechanism of dendritic cell progenitor cells and enhancement of antitumor immunity by application
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22K15015
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
守屋 大樹 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (30759759)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨髄 / KikGRマウス / 腫瘍免疫 / 樹状細胞前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は骨髄から腫瘍へ移行する樹状細胞(DC)の解析し、その腫瘍浸潤に関与する分子機構を明らかにすることを目的としている。2023年度は、骨髄から腫瘍に移行するDCの解析を実施した。紫色光照射で緑(kikGR-Green)から赤(KikGR-Red)に変換する光変換タンパク質KikGRを全身の細胞に発現するKikGRマウスに腫瘍を接種し、一定時間後に担ガンKikGRマウスの大腿骨に紫色光照射し骨髄内の細胞をKikGR-Redに光変換した。紫色光照射24時間後に採取した腫瘍および腫瘍所属リンパ節を用い、酵素処理による細胞単離後にフローサイトメトリーによる解析を行なった。 腫瘍浸潤細胞中で、骨髄由来のKikGR-Red細胞は未成熟なDCが含まれる分画と考えられる、CD11c+MHC Class ll loからmidの分画に、少数ながら検出された。また、腫瘍所属リンパ節でも骨髄由来のKikGR-Red細胞はCD11c+MHC Class ll loの分画で検出された。大腿骨への紫色光照射48時間後のマウスで同様の解析を行なったところ、腫瘍、および腫瘍所属リンパ節内のKikGR-Red CD11c+細胞の割合は増加していた。一方で成熟マーカーの一つである、MHC class llの発現については、24時間と48時間で大きな変化は見られなかった。 以上の結果より、骨髄から腫瘍、および腫瘍所属リンパ節に移行する未成熟なDC、あるいは樹状細胞前駆細胞が存在すること、そして紫色光照射24時間後と48時間後の解析結果の比較より、骨髄からそれぞれの組織に移行後少なくとも24時間は未成熟な状態で留まり続けるDCもしくは樹状細胞前駆細胞が存在することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は骨髄から腫瘍および腫瘍所属リンパ節に移行するDCおよび樹状細胞前駆細胞の解析を行った。当初の計画では加えて骨髄から腫瘍および腫瘍所属リンパ節内に移行した、CD11c+ KikGR-Red細胞を分取し、RNAシークエンス解析を実施する予定であったが、実施まで至らなかった。計画通りに進捗しなかった理由として、自家繁殖で維持しているKikGRマウスの繁殖、子育てが途中でうまくいかずに研究に利用できない期間があったことが挙げられる。この問題に関して、特に出産後の授乳期における飼育方法を変更することで現在は順調に繁殖が進んでいる。また、骨髄由来の腫瘍に浸潤したKikGR-Red細胞が想定よりもかなり少なく、RNAシークエンス解析に必要な細胞数を得るための検討に時間を有したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はRNAシークエンス解析を実施し、骨髄から腫瘍に浸潤する細胞に特異的に発現する分子の同定を試みることを介して、腫瘍に浸潤するために利用する分子機構の解明を試みる。 RNAシークエンス解析するために、骨髄から腫瘍に移行する細胞数を確保する必要がある。2023年度の研究実績より、骨髄から腫瘍および腫瘍所属リンパ節に移行するCD11c+細胞は未成熟な状態でそれぞれの組織に留まる可能性が高いことが明らかとなっている。また、紫色光照射してから48時間後の骨髄内のCD11c+細胞のうち15%程度はKikGR-Redであり、48時間目以降も骨髄から腫瘍に移行して留まる細胞数は増加する可能性が考えられた。このため、腫瘍に浸潤する細胞に関して、経時解析を行い、より腫瘍内のKikGR-Red細胞が多く存在する条件について検討する。また、研究に使用するKikGRマウスの繁殖も安定させることができているため、一度に使用するマウスを増やすことでRNAシークエンス解析に使用する細胞数を確保する。腫瘍所属リンパ節に移行した骨髄由来細胞はこれまでの方法で十分確保できている。必要に応じて、骨髄細胞数を増やすサイトカインの利用も検討する。 必要な細胞数を得られる目処が立ち次第、腫瘍および腫瘍所属リンパ節内の骨髄由来KikGR-Red細胞を分取し、RNAシークエンス解析を実施する。 その後、ケモカイン、インテグリンを中心に、それぞれの組織に移行した細胞間での比較解析を行い、骨髄から腫瘍に移行する細胞に特異的に発現する分子の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が想定していた通りに進まず、RNA-seq解析が実行できなかった。次年度、RNA-seq 解析を実施する予定であり、今年度RNA-seq解析に使用予定だった予算を次年度のRNA-seq解析の費用として使用する計画である。
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