2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the tumor suppressive enhancers that supports the endometrial homeostasis
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22K15026
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小林 良祐 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (30802855)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子宮内膜がん / マウスモデル / エピゲノム / エンハンサー / ホメオスタシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではエンハンサー障害による子宮内膜の恒常性維持機構の破綻がKMT2変異がんの発症機序ではないか?という仮説のもと、CRISPR-Cas9やCUT&Tagなどの最新技術を駆使することにより、マウス子宮内膜でのエンハンサーによる遺伝子発現制御の実態を生体レベルで明らかにすることを目指す。 我々は昨年度までにPten/Kmt2ダブル欠損マウスを新たに樹立し、このマウスが生後1ヶ月で子宮内膜がんを発症し、生後3ヶ月までに死亡することを見出した。コントロールマウス、Pten欠損マウス、Pten/Kmt2ダブル欠損マウスの子宮から単離した上皮細胞(およびがん細胞)でRNA-seqやCUT&Tagを実施し、本年度はその詳細な解析を行った。Pten欠損と比較し、Pten/Kmt2ダブル欠損子宮上皮細胞では細胞遊走や炎症応答に関する遺伝子が発現上昇していることがわかった。一方、DNA修復や細胞老化に関わる遺伝子発現は減少していた。CUT&Tagによって、エンハンサーマーカーであるH3K4me1ピークを解析したところ、Pten/Kmt2ダブル欠損ではむしろピーク数が増加しているという予想外の結果を得た。Kmt2ファミリ―遺伝子には複数のホモログが存在しているため、ノックアウトしたKmt2遺伝子と異なるメンバーが代償作用した結果、H3K4me1ピークの増加が生じたのではないかと推測している。 また本研究を通じて、子宮特異的Kmt2欠損マウスは着床不全により不妊の表現型を呈することも明らかとなった。このことは子宮内膜における特定のエンハンサー制御が、子宮組織の恒常性維持(がん抑制)だけでなく、子宮機能にも必要不可欠であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エンハンサーの指標となるH3K4me1ピーク数は、Kmt2欠損子宮でむしろ上昇しており、これは当初予想していた結果と異なるものだったが、他のメチル化酵素による代償作用が働いているという新たな病理機序が示唆された。 加えて、子宮ではKMT2が胚着床にも重要であることが明らかとなったことから、当初想定していなかった研究展開が可能となり、令和5年度の先進ゲノム支援による解析支援に採択されるに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
他のメチル化酵素による代償的遺伝子発現上昇がKmt2欠損マウスにおける子宮がん悪性化病理機序ではないかという仮説のもと、遺伝子発現上昇とエンハンサー獲得の相関をRNA-seqとCUT&Tagの統合解析より明らかにする。加えて、Pten/Kmt2欠損マウスで発現上昇が認められた遺伝子をノックアウトしたモデルを作出し、Pten/Kmt2欠損マウスの腫瘍を低減できるか検討する。 また、先進ゲノム支援による解析支援に採択され、正常マウスおよびKmt2欠損マウスの着床期子宮内膜におけるエンハンサー活性をCUT&Tagにて解析中であり、これによりマウス胚着床に必須のエンハンサー活性が明らかにできると期待される。
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Causes of Carryover |
先進ゲノム支援に採択され、NSG解析に関わる費用を一部援助していただくことができたことと、令和6年度4月からの異動が決まったことで年末から一部研究を停止していたことにより次年度使用額が生じた。次年度使用額は異動後の研究機関での研究体制立ち上げに使用する計画である。
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Research Products
(7 results)