2023 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術を用いたインフルエンザウイルス抵抗性ニワトリの作製に向けた研究
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22K15027
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥嵜 雄也 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (30837208)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 遺伝子組換えニワトリ / ゲノム編集 / CRISPRスクリーニング / トリインフルエンザ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、前年度において作製したニワトリ遺伝子14000種類に対するgRNA発現プラスミドライブラリの完全性を確かめるため、ライブラリ中のgRNAの配列をアンプリコンSeqにより解析した。その結果全配列のうち、約95%のgRNAの配列がライブラリ中に保持されていることが確認でき、ライブラリの完全性はおおむね確保できていると考えられた。そこで、このプラスミドライブラリを用いてgRNAを発現するレンチウイルスのプールを作製した。これを、野生型もしくはCas9を発現するニワトリ線維芽細胞DF1に対して1細胞あたり0.3程度の低い多重感染度で感染させることで、標的gRNAの配列が1細胞につき1つゲノムDNA中に組込まれたDF1細胞を作製した。この目的とするDF1細胞は、gRNAと同一ベクターに搭載した緑色蛍光レポーターを用いてセルソーターにより選抜した。次いで得られた細胞よりゲノムDNAを精製し、プラスミドライブラリの評価と同様の方法でgRNAの配列をPCRにより増幅し、アンプリコンSeqによる解析をおこなった。しかし、ゲノムDNAを鋳型としてPCRを行った影響のためかプライマーダイマー由来のリードが多く、目的とするgRNAの配列を含むリードの絶対数が少ないという問題に直面した。解析の結果、少なくとも全体の30%程度のgRNAの配列はDF1のゲノム中に保持されていることが確認できたが、リード数が少ないため正確な評価には至らなかった。PCR条件を再検討することにより高純度なPCR産物を得ることに成功したため、現在これらサンプルを用いて再度アンプリコンSeqの解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究ではCRISPR-Cas9スクリーニングに用いるためのgRNAライブラリの完全性の評価が完了した。また、このライブラリをゲノムDNA上に組込んだニワトリ線維芽細胞DF1ライブラリの構築に成功した。一方でDF1細胞におけるライブラリの完全性の評価は、アンプリコンSeqの品質が低かったため完了することができず、再度の解析が必要である。これらの進捗を当初の計画と照らし合わせると、研究はやや遅れていると考えられるが、すでにアンプリコンSeqの条件は再検討が完了しており十分に挽回可能であると予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作製したgRNAライブラリ導入DF1細胞株のアンプリコンSeq解析を再度実施し、ライブラリの評価および野生型DF1とCas9発現DF1でのgRNAの差異を解析する。これによりニワトリ細胞において生存に必須な遺伝子の評価を行うと共に、gRNAライブラリによるノックアウトが機能しているかを評価する。次いで、Cas9発現ライブラリ導入DF1細胞に対してトリインフルエンザウイルスを感染させる。次いで、生き残った細胞を回収して同様の手法によりアンプリコンSeq解析を実施することで、ノックアウトによりトリインフルエンザウイルスに対して耐性を付与する遺伝子の候補を抽出する。得られた候補遺伝子はDF1細胞においてCas9を用いてそれぞれノックアウトを行い、トリインフルエンザウイルスに対する耐性の有無を個別に評価する。
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