2022 Fiscal Year Research-status Report
tRNA修飾酵素の新規標的RNAを効率的に同定する技術開発とその応用
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22K15035
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山上 龍太 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (70767227)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | tRNA / RNAシュードウリジル化酵素 / tRNA修飾 / 次世代シーケンス / 変異プロファイリング |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAは、プロセシングやRNA修飾などの編集加工(RNA成熟)を受け、機能性を獲得する。RNA成熟によるRNAの構造と機能の変化は、転写・翻訳などの遺伝子発現機構を制御する。その一方で、「どのRNAが、どのような成熟過程を経て、どのように遺伝子発現を制御するか?」の全貌は、未解明である。本研究では、tRNA修飾酵素をRNA成熟酵素のモデルとして、 a) tRNA修飾酵素の新規標的RNAを同定する技術開発 b) RNA修飾による標的RNAの構造と機能の変化 c) RNA修飾によるタンパク質合成系の制御 の3つの観点からtRNA修飾酵素と標的RNAを系統的に分析する手法を構築し、RNA修飾による遺伝子発現の制御機構の一端を明らかにすることを研究目的としている。2022年度は、新規標的RNAとそのRNAに含まれる修飾ヌクレオチドを分析する技術開発として、tRNA-MaP法の最適化と解析パイプラインの構築を行なった。tRNA-MaP法は、逆転写反応中に修飾ヌクレオチドに由来して導入される変異を次世代シーケンスによって、網羅解析する方法である。tRNA-MaPの検出感度、反応プロトコールなどを最適化し、tRNA-MaP法が定量的にRNA修飾量を分析できることを示した。さらに、特定の修飾ヌクレオチドを1塩基分解能で特定す流ために、シュードウリジン修飾をモデルとして、CMCT法やバイサルファイト法をtRNA-MaP法に組み入れた新tRNA-MaP法の開発を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗状況をやや遅れていると評価した。その理由として、tRNA-MaP法の最適化を行い、その方法を論文化することができた一方で、 b) RNA修飾による標的RNAの構造と機能の変化 c) RNA修飾によるタンパク質合成系の制御 に着手することができていない。またシュードウリジン修飾に着目して本研究を遂行しているが、シュードウリジン合成酵素の新規基質RNAを同定するに至っていないため、進捗状況をやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究の推進方策を以下に示す。 (1)大腸菌もしくは、高度好熱菌Thermus thermophilusなどのモデル生物におけるtRNAシュードウリジン合成酵素の遺伝子破壊株と野生株を用いて、シュードウリジン修飾の網羅解析を行い、標的となるRNAを探索する。 (2)tRNAのハイスループット分析法を用いて標的RNAの構造と修飾ヌクレオチドの解析を行う。
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Research Products
(6 results)