2023 Fiscal Year Annual Research Report
18-1-8 complex as a therapeutic target?
Project/Area Number |
22K15040
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
川澄 遼太郎 東京都立大学, 理学研究科, 特任助教 (60943545)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CTF18 / DNA複製 / 染色体分配 / 合成致死 / PRIMPOL |
Outline of Annual Research Achievements |
がんは遺伝子の病気であり、遺伝子の変異により異常な細胞増殖が引き起こされ発がんする。無秩序な増殖はがん細胞にとっても困難なタスクであり、DNA修復因子などへの依存が高まることが知られている。これを利用して、がん細胞が依存する経路を分子標的薬により阻害することでがん細胞を選択的に治療する「合成致死」に基づいた治療法が注目されている。成功例として遺伝性乳がんの原因遺伝子であるBRCAの変異との合成致死を利用したPARP阻害薬が挙げられる。 CTF18はDNAの複製や修復、染色体の分配に関わることが知られている。出芽酵母を用いた研究から、複製や修復に関わる30以上の遺伝子と合成致死を示すことが 報告されており、ゲノム安定性に寄与する遺伝子の変異を伴ったがん細胞を選択的に障害するためのターゲットとして有望である 2023年度はCTF18のDNA複製おける機能に着目して合成致死となる遺伝子の探索と機能検証を実施した。CTF18はDNA複製に関わる因子をDNA上に安定化する働きを持つことが分かっている。複製開始時にプライマーを合成する酵素であるプライマーゼもその一つであり、CTF18遺伝子を欠損した酵母ではプライマーゼのDNA結合量が顕著に低下することが報告されている。したがって、CTF18欠損細胞はプライマーゼ活性を持つ酵素であるPRIMPOLへの依存性が高まっていると考え、二重欠損細胞を作製し遺伝学的解析を実施したが合成致死は確認できなかった。一方、CTF18/DDX11/WAPLの三重欠損細胞においてPRIMPOLの遺伝子破壊を行ったところ、合成致死が観察された。この三重欠損細胞ではCTF18とDDX11の染色体分配における要求性はバイパスされていることから、CTF18/PRIMPOLの二重欠損細胞ではDNA複製においてDDX11が必須となっていると考えられる。
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