2022 Fiscal Year Research-status Report
核磁気共鳴法を用いたGタンパク質共役型受容体によるアレスチン活性化機構の解明
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22K15052
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
白石 勇太郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (10894412)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Gタンパク質共役型受容体 / アレスチン / 核磁気共鳴法 |
Outline of Annual Research Achievements |
完全作動薬であるformoterolが結合したβ2ARを調製し、GRK2によるリン酸化反応を行ったうえで、そのリン酸化部位をC tailを観測対象としたNMR測定により同定した。SPR法によりβ2ARとβ-アレスチン1の親和性を解析し、非リン酸化β2ARはβ-アレスチン1との結合が検出されない一方で、リン酸化β2ARではKd = 0.2 μMで結合することを示した。さらに、リン酸化β2ARに逆作動薬であるcarazololを結合させた際には、その親和性がKd > 1 μMに低下することを示した。以上の結果から、β2ARのC tailはリン酸化依存的に、TM coreは活性化依存的にβアレスチンと結合すること、特にリン酸化が見かけの親和性に大きく寄与していることが分かった。 また、β-アレスチン1の構造変化をNMRシグナルの化学シフト変化を指標に解析しところ、formoterol結合型リン酸化β2ARの結合に伴い、β-アレスチン1のN,C lobe1の界面に特に大きな化学シフト変化が検出され、2つのローブの相対配置の変化を伴う構造変化が示唆された。一方で、carazolol結合型リン酸化β2ARが結合した際には、遊離状態に対応する化学シフト、folmoterol結合型リン酸化β2AR結合状態に対応する化学シフトの両方にシグナルが観測された。以上の結果から、β2ARの活性化したTM coreとの結合が、β-アレスチン1の構造変化に大きく寄与していることが分かった。 さらに、β-アレスチン1の構造解析に用いられている構造認識抗体Fab30の結合がβ-アレスチン1の構造に与える影響を解析し、Fab30が結合すると、β2AR TM coreとの結合がない状態でも、β-アレスチン1が活性化構造を安定に形成することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、TM coreの活性化状態とC tailのリン酸化状態を制御したβ2ARの調製法を確立し、これらがβ-アレスチン1との親和性、β-アレスチン1の構造変化をどのように変化させるか勧めることができた。さらに、当初の計画になかった内容として、β-アレスチン1の構造認識抗体が構造に与える影響を解析し、これがTM coreとの相互作用がない状態でも活性化構造を安定化させる作用を持つことを示した。以上の結果から、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
GRK2に加え、GRK6によるリン酸化の影響を解析することで、リン酸化部位の違い、β-アレスチン1との親和性に与える影響の違いを解析する。また、部分作動薬が結合したリン酸化β2ARとβ-アレスチン1の構造解析を行い、TM coreがβ-アレスチン1の構造変化に与える影響をより詳細に調べる。さらに、常磁性プローブを用いた解析を行うことでβ-アレスチン1の構造変化を可視化する。
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Causes of Carryover |
本年度は、当初計画を上回る内容として、構造認識抗体の性状解析を進めた。この影響で、本年度に着手する予定であった、高価な安定同位体標識試薬を必要とするNMR解析を次年度に実施することとしたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、安定同位体標識試薬の購入に用いて、当初予定していたNMR解析を実施する。
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Research Products
(6 results)