2022 Fiscal Year Research-status Report
Rabタンパク質代謝を介した新規メンブレントラフィック制御機構の解明
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22K15062
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高橋 俊樹 東京都立大学, 理学研究科, 特任助教 (50897353)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ユビキチン / メンブレントラフィック / Rabタンパク質 / BAG6 / RNF126 / UBQLN4 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は2022年度においてヒト細胞内の恒常性維持に必須であるRabタンパク質の新規制御機構について研究を行い、これを明らかにした。 ヒト細胞は脂質膜で構成される小胞によって細胞内の物質、情報を輸送しており、この膜小胞による輸送はメンブレントラフィックと呼ばれる。申請者はこれまでの研究において、メンブレントラフィックの必須因子であるRabタンパク質がグアニンヌクレオチドとの結合依存的に分解されることを世界で初めて明らかにした(Takahashi et al., EMBO Rep, 2019)。一方、グアニンヌクレオチドと結合したRabタンパク質を分解する因子や分解の意義については解明されていなかった。 そこで申請者は細胞内のタンパク質分解因子とRabタンパク質の結合スクリーニングを行い、一つの複合体を形成するタンパク質群がRabタンパク質とグアニンヌクレオチド依存的に結合することを明らかにした。申請者が同定したRab結合タンパク質、BAG6、RNF126、UBQLN4はユビキチンと呼ばれるタンパク質修飾因子を特異的に認識し、ユビキチン修飾されたタンパク質を分解酵素まで誘導する機能をもつ。申請者はRabタンパク質がグアニンヌクレオチドとの結合依存的にユビキチン修飾されて分解されること、その分解がBAG6、RNF126、UBQLN4依存的に行われることを明らかにした。また、Rabタンパク質の分解を阻害すると、メンブレントラフィックによって形成される細胞小器官、一次繊毛の形成が見られなくなることを示した。 以上の結果をもって、申請者はこれまで明らかにされていなかったRabタンパク質の分解因子や分解の意義を解明し、その成果を海外の科学専門誌iScience誌にて発表した(Takahashi et al., iScience, 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では申請者が自身で発見したヌクレオチド依存的なRabタンパク質の分解機構に着目し、その分解因子の同定や分解の生理的意義の解明を目指していた。 2022年度までの研究活動の結果、研究計画の大部分を2022年度内に遂行し、その成果を世界的に有名な科学専門誌Cellの姉妹誌であるiScience誌に投稿した。iScience誌では投稿された論文が誌に掲載されるか決定するために同研究分野内の著名な研究者複数名が厳格な審査を行う。 申請者の投稿した論文はこの審査を通過し、iScience誌に掲載されたことから、2023年度までを予定していた本研究課題は当初の計画以上に進展し、その成果は同じ研究分野内の研究者からも認められている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策はより大規模な細胞生理への影響の検証を考えている。 申請者は細胞小器官の一つである一次繊毛に対してRabタンパク質の分解が影響を与えることを明らかにしたが、細胞内のRabタンパク質は60種類以上存在することが知られており、一次繊毛形成以外の生理機能への影響も十分に考えられる。そこで今後はメンブレントラフィックに関与する生理機能を専門的に研究する研究者と共同で研究を行い、Rabタンパク質の分解が影響する細胞生理機能を網羅的に明らかにする。
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Research Products
(2 results)