2023 Fiscal Year Research-status Report
Structural and functional study for mitohocndrial large channel formation.
Project/Area Number |
22K15078
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹田 弘法 神戸大学, 先端バイオ工学研究センター, 特命准教授 (80816588)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / クライオ電顕 / 巨大チャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは ATP を合成するエネルギー工場として機能する、真核生物に必須のオルガネラである。ミトコンドリアが性状に機能するには、様々な膜タンパク質が性状に機能することにより、ミトコンドリア恒常性が保たれている。本研究は、ミトコンドリア外膜に形成される巨大チャネルのクライオ電顕構造を決定することによって、巨大チャネルの分子メカニズムを原子レベルで解明する研究である。 本年度は、3 種類の基質と結合した巨大チャネル、異なるコンフォメーションを示す 3 種類の巨大チャネルの精製に成功した。基質結合型巨大チャネルについては、基質をさらに強固に巨大チャネルへと結合・固定化される手法を確立することにより、基質結合型巨大チャネルをさらに多く精製することが可能となった。これらについては、クライオ電顕による構造解析に向けて準備を進めている。また、異なるコンフォメーションと想定される 3 種類の巨大チャネルについても成功しており、さらに異なる 2 種類の巨大チャネルを精製するための細胞株を作成した。特に前者 3 種類についてはクライオ電顕による構造解析を進むに十分な量の精製タンパク質を得ることができた。 基質結合型巨大チャネルをクライオ測定した結果、巨大チャネルに由来する粒子は予想以上に小さいことから、解離していることが示唆された。この点については、未だ解決していないが、今後、精製法を検討することで解決していきたい。また、異なるコンフォメーションを形成する巨大チャネルについては、まずは 1 種類に対して異なる方法で精製し、粒子が小さくなるかどうかを検証することで、粒子が解離しない、最適な条件を選定するとともに、巨大チャネルの複数のクライオ電顕構造を決定し、その分子メカニズムを解明したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究にける目的であるミトコンドリア巨大チャネルの原始レベルでの分子メカニズムの解明には、巨大チャネルのクライオ電顕構造が不可欠である。クライオ電顕構造を決定するためには、大量の精製タンパク質が必要である。その上で、基質結合型巨大チャネルおよび異なるコンフォメーションを示す巨大チャネルの大量は、本研究おける律速段階である。これまでの2年間で合計 5 種類の巨大チャネルの精製に成功し、さらに異なるコンフォメーションを示す 2 種類の巨大チャネルの細胞株の作成に至っている。本研究は残り一年となったが、この期間で、すべてのクライオ電顕構造を決定すると共に、巨大チャネルの分子メカニズムとミトコンドリア恒常性に対してどのように寄与するのかを解明したい。
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Strategy for Future Research Activity |
基質結合型巨大チャネルをクライオ測定した結果、巨大チャネルに由来する粒子は予想以上に小さいことから、解離していることが示唆された。この点については、未だ解決していないが、今後、精製法を検討することで解決していきたい。また、異なるコンフォメーションを形成する巨大チャネルについては、まずは 1 種類に対して異なる方法で精製し、粒子が小さくなるかどうかを検証することで、粒子が解離しない、最適な条件を選定するとともに、巨大チャネルの複数のクライオ電顕構造を決定し、その分子メカニズムを解明したい。
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Causes of Carryover |
当該年度は、クライオ電子顕微鏡による構造解析をおこなったが、タンパク質に由来する粒子のサイズが想定よりも非常に小さく、これはタンパク質複合体が解離していることが示唆される。そのため、顕微鏡での構造解析よりも前のステップである大量精製、すなわちサンプル調製に問題があると考え、タンパク質複合体の大量精製の条件検討を優先的に推進した。クライオ電子顕微鏡による構造解析には使用量が発生するが、大量精製を優先させたため、クライオ電子顕微鏡の使用量が発生しなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。当該年度は、タンパク質複合体の大量精製の条件検討に成功したため、次年度はこれらのサンプルを使用してクライオ電子顕微鏡による構造解析に進めたい。
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Research Products
(4 results)