2022 Fiscal Year Research-status Report
全球規模のロドプシン情報基盤の開発ー光利用の環境特性の解明と応用利用に向けてー
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22K15089
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
西村 陽介 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生命理工学センター), 特任研究員 (90718959)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ロドプシン / メタゲノム / 環境微生物 / オプトジェネティクス / データベース / 遺伝子系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物型ロドプシンは地球環境に最も普遍的に存在する光受容体の一つであり、その光エネルギー変換機構を通じて、生態系を駆動する太陽光エネルギーの主要な窓口である。環境微生物が持つロドプシンは配列や機能の多様性が著しい。それぞれの環境に生息する微生物にとって、その環境に適したロドプシンを獲得することが環境適応の鍵となっていると考えられる。一方で、ロドプシンは光遺伝学の実験系や眼科疾患の治療における利用が進んでおり、応用面でも大きな注目を集めている。 本研究は、「ロドプシンによる光利用が微生物の環境適応に及ぼした影響の解明」と、「ロドプシンの応用利用に最適化された配列の探索」を目的とする。具体的には、メタゲノムビッグデータに含まれるロドプシン遺伝子の全球的探索と網羅的系統解析を行い、関連する情報(生物系統・環境特性・機能・配列的特徴など)を統合した「全球規模のロドプシン情報基盤」の構築を行う。それにより、「微生物の環境特異的な光利用戦略」についての包括的な検証と、光受容体ツールとしてのロドプシンの応用利用を推進する。 今年度は、網羅的なタンパク質配列データベースであるUniParcや、大規模メタゲノム・トランスクリプトームデータから27万以上のロドプシン配列を収集した。UniParcに由来する配列を中心に5,448配列からなるリファレンス系統樹を作成し、既知のロドプシン機能情報や生物系統情報を参考に63個のクレードを定義した。既報のロドプシン機能情報については、文献を用いた情報収集を網羅的に行い、288のロドプシンについてその機能情報を整備した。メタゲノムやトランスクリプトームに由来する莫大な配列については、独自の解析パイプラインを開発し、それぞれの配列について63個のクレードのどれに相当するかを推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記載したとおり、ロドプシン情報基盤の構築は順調に進展している。また、新規ロドプシンの応用利用に向けて、収集した27万以上のロドプシン配列の中から機能解析がなされていないクレードを中心に、ロドプシンの異種発現解析や機能解析を共同研究により進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
「ロドプシンによる光利用が微生物の環境適応に及ぼした影響の解明」については、メタゲノムデータの由来となる環境情報を文献から収集し、整備を進めている。その環境情報を用いて、ロドプシンの機能と環境の関係性について、網羅的な把握を行う。 「ロドプシンの応用利用に最適化された配列の探索」については、今後も共同研究を展開し、実験によるロドプシンの機能解析を行うことで、機能や吸収波長の点で新規性の高いロドプシンの探索を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍のため海外での学会発表を自粛せざるを得なかったことと、京都大学化学研究所スーパーコンピューターの使用料を所属部署の経費で支払うことができたことによる。 次年度は、ロドプシン文献情報収集のための人件費を割増する予定である。
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