2022 Fiscal Year Research-status Report
A direct evolution method and a rational design strategy for synthetic mRNAs that control mammalian cell fate
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22K15090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川崎 俊輔 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (10816036)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 翻訳制御 / RNA/RNP / RNAアプタマー / mRNA / 分子進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAの持つ遺伝子発現制御能や分子結合能といった機能に着目し、タンパク質翻訳を標的分子依存的に誘発できる人工mRNAの作出が試みられている。このような、「ON型」の人工mRNAは、単純な分子検出のみならず、導入遺伝子を介して細胞機能をも制御できるため非常に有用である。しかしながら、哺乳類細胞内で機能するON型mRNAを簡便かつ迅速に開発することは未だ挑戦的である。そこで、本研究では、申請者の最近の発見に立脚し、 ON型mRNAを創出できるハイスループット分子進化技術および合理的設計方法を確立する。本年度は計画に従い、「新規人工RNA配列の取得が可能なハイスループット指向性進化法の確立」を目指した。そのために、利用する酵素、及び各反応ステップの条件の検討と最適化を実施した。また、「計算機を用いた核酸相互作用予測に基づく新規人工mRNAの合理的設計法の確立」のために、選定したRNA構造のin vitroでの機能評価を行った。この結果、選定したRNA構造は、意図した機能をin vitro条件下でも有していたものの、その性能は、以降の実験には不十分であることが示唆された。これらに加えて、ON型mRNAの設計最適化を進めた。DNA導入におけるON型mRNAの発現方法、RNA導入におけるON型mRNAの調整方法の検討を行った。これらの成果は、2022年度分子生物学会年会他にて報告済みである。今後は、指向性進化実験を実施するとともに、合理的設計法の確立を目指す。また、並行して、哺乳類細胞導入によって細胞運命制御を達成するために最適なON型mRNAの発現、導入、調整方法を探索する。その後、モデル実験によって細胞運命制御の達成可能性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題はおおむね順調に推移している。その理由として以下の点があげられる。
1.「新規人工RNA配列の取得が可能なハイスループット指向性進化法の確立」のために、利用する酵素、及び各反応ステップの条件の検討と最適化を行い、指向性進化実験の実施準備が概ね整った。 2. 「計算機を用いた核酸相互作用予測に基づく新規人工mRNAの合理的設計法の確立」のために、実施した実験は、不十分な結果となったが、一方、ON型mRNAの設計最適化を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 指向性進化実験の実施 2. 新たなRNA構造の選定とin vitro条件下での機能確認 3. 人工mRNAの合理的設計 4. ON型mRNAの最適な発現、導入、調整方法の探索 5. モデル実験による哺乳類細胞運命制御
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、いくつかの物品が購入できなかったため。次年度は、前年度購入が難しかった物品の購入や、より迅速な研究遂行に資する物品の購入に当てる予定である。
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