2022 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー分解されにくいタンパク質の網羅的探索とその仕組みの解明
Project/Area Number |
22K15101
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 英吾 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (20836366)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オートファジー / プロテオーム解析 / 出芽酵母 / ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは出芽酵母から単離したオートファジックボディを質量分析を用いてプロテオーム解析することで、グリコーゲンの結合タンパク質とグリコーゲンは他の細胞質タンパク質と比較して窒素源飢餓時に液胞に送られにくいことを見出していた。今年度の研究により、窒素源飢餓時とは異なり、胞子形成時にはグリコーゲンがオートファジーを介して液胞によく送られること(グリコファジー)を新たに見出した。この胞子形成時のグリコファジーの活性化には、窒素源飢餓時の解析の際に過剰発現によりグリコーゲンが液胞に送られやすくなるタンパク質として見出していたAtg45が必要であった。このことからAtg45はオートファジーにより液胞に送りにくいグリコーゲンを液胞に送りやすくするために機能していることが考えられた。 上記の結果から、異なるオートファジー誘導条件では分解のされやすさが異なるタンパク質があることが考えられたため、胞子形成条件でのオートファジックボディの単離を計画した。胞子形成条件に特徴的な内容物を含むオートファジックボディを精製するため、胞子形成効率が高いことが知られているSK株のバックグラウンドでATG15破壊株を作成した。その結果、胞子形成条件にて栄養を追加で添加した条件でのみATG15欠損細胞において胞子形成が後期の段階まで進行することを見出した。この条件でオートファジックボディの単離し、解析することで胞子形成時に特徴的なオートファジーの基質解析が可能になることが期待される。 また、オートファジーによって分解されにくくなる要素として、対象の大きさが重要なファクターであると考え、細胞内で会合し、巨大構造を形成するGEMタンパク質を発現させ、オートファジー分解を調べたたところ、他の細胞質タンパク質と比較してGEMのオートファジー分解は著しく低かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オートファジーによって液胞に送られにくい細胞成分を、液胞に送られるように調節する因子の存在がわかったこと、分解を受ける対象となる細胞成分の大きさがオートファジー分解の効率を決める重要な要素であることを示唆するデータが得られたため、おおむね順調に研究が進んでいると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
胞子形成時のオートファジックボディの精製の条件検討を進め、内容物の解析を実施していく。 またGEM実験に関しては、GEMの正確な大きさが測定できていないため、その測定を実施し、他のGEMを用いるなどして様々な大きさを用意し、データを取得していく。また、そのGEMに対する人工的なオートファジーレセプターも作成し、その効果も検証していきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、想定よりも質量分析を実施しなかったため。 次年度使用額は2023年度に実施する質量分析に用いる。
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