2022 Fiscal Year Research-status Report
膜局在プローブの汎用的開発手法の実現による胚発生下の内在性Wnt動態の可視化
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22K15115
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Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
杉山 博紀 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 特別研究員 (90910026)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / 分裂酵母 / バイオセンサー / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、基礎生物学・医薬学上の主要な研究対象であるGタンパク質共役型受容体(GPCR)のリガンドの生体内での時空間的動態を可視化することを目標に掲げ、膜局在型のプローブの開発に汎用可能な大規模なスクリーニング法を開発することを目的とする。具体的には以下の3項目に分割して研究遂行する計画を立てた。 1.分裂酵母においてGPCRのリガンド応答を可視化するバイオプローブのスクリーニング系の整備 2.マイクロ流体デバイスを利用した分裂酵母の並列ライブイメージング系の確立 3.ライブイメージングした特定の細胞を選択的に回収する機構の実現 本年度は、これら3項目のうち、もっとも汎用性が高く、他の系にも応用可能な新規技術となることが見込まれる、「3.ライブイメージングした特定の細胞を選択的に回収する機構の実現」に主として取り組んだ。本研究では、この実現に、デバイスの側の工夫ではなく、光遺伝学を利用した細胞の側での工夫によってアプローチしている。本年度の検討において、すでに基本的な概念実証を終え、基本的には当初の想定した戦略において実現できるのではないかという手ごたえを得るに至った。他方、今後本系を1、2と組合わせて実用化するうえでは、ONとOFFをより明確に切り替える機構が必要であることも明らかになり、次年度以降の研究によって、この解決が望まれる。 また、1・2に関連してバイオセンサーを利用した分裂酵母のライブイメージングの基盤整備を兼ねて行っていた研究プロジェクトにおいて、一定の進捗があり、当該成果をPreprintとして公開し、国際誌に論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最も核となる「ライブイメージングした特定の細胞を選択的に回収する機構の実現」において、基本的な原理検証が済んだことは、大きな進捗であると評価できる。他方、系の実用化に向けては更なるファインチューニングが必要なことも分かったが、そのための方策はいくつかすでに試行段階にあり、近々の実現が見込める。前項目1.2との統合はまだ未知数ではあるが、いずれも参考にできる研究例は散発的ではあるが報告があり、また所属研究室の別プロジェクトの成果を援用しながら進めることができるものと見込め、根本的な問題が生じることは想定されがたい。上記より、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、特に上半期において「ライブイメージングした特定の細胞の選択的回収機構の実現」のための光遺伝学ツールのファインチューニングを最優先課題として取り組む。具体的には、光遺伝学的に遺伝子発現を誘導する系だけでなく、抑制する系も組み合わせることで、よりONとOFFの状態にコントラストをつけられるよう工夫する。そのうえで、本研究提案の目標である、膜局在型プローブの開発を具体化するため、前項目1・2を進める。特に、前項目「2.マイクロ流体デバイスを利用した分裂酵母の並列ライブイメージング系の確立」については、申請者の別プロジェクトの成果を援用できるため、本研究課題の主軸としては、「1.分裂酵母においてGPCRのリガンド応答を可視化するバイオプローブのスクリーニング系の整備」を想定している。
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Causes of Carryover |
購入予定に計上していた装置について、値引きを受けられたため、当初の想定よりも安く購入することができた。また、参加学会について、本研究課題に関連して国際学会の参加予定であったところ、当地のコロナ情勢などを鑑み、本研究課題で支出する旅費経費としては、国内学会の旅費のみとなった。次年度にもまだ機器購入の予定があり、次年度使用額を充当することで効率的な予算使用が見込めると考えられるため。
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